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2005年02月18日(金) 13時31分

アップル、モジラ、オペラらがW3Cに反旗--ウェブフォームの標準策定でCNET Japan

 ネット関連の大手各社が、次世代ウェブアプリケーションに関する覇権争いを続けるなか、ウェブの主要な標準化団体が内乱の危機に瀕している。この原因になっているのは、インタラクティブな書類の柱となる電子フォームだ。

 今週、World Wide Web Consortium(W3C)の参加メンバーの一部が、Web Forms 2.0の仕様策定作業がほぼ完成に近づいており、最後のコメント募集の呼びかけを行ったことを明らかにした。Web Hypertext Application Technology Working Group(WHAT-WG)と名乗るこのグループには、Apple Computer、Mozilla Foundation、Opera Softwareなどのブラウザー開発元も名を連ねている。

 この動きにより、フォームベースのアプリケーションを新たなレベルに引き上げようとする競争に新たな参加者が加わることになるが、同時にそのことが新しいウェブアプリケーションの基盤となるオープンな標準づくりの取り組みを複雑なものにしている。またこの動きは、W3Cにとって新たに登場した大きな頭痛のタネでもある。W3Cは、2003年にXFormsに関する勧告を出したが、Microsoftを筆頭とするプロプライエタリソフトのメーカーがこれに抵抗し、長い間その普及を阻んできているからだ。

 「いまは大規模な混乱状態にある」というのは、金融関連業界のクライアント向けに、フォームベースのアプリケーションを開発するEdgeIPK(本社:英国、ニューベリー)の最高技術責任者、Dharmesh Mistryだ。「W3CはXFormsこそが答えだというが、これに対しMicrosoftはXAMLを、MacromediaはFlash MXを、そしてMozillaではXULを推している。組織としての立場からすれば、『リッチなインターネットアプリケーションを1つの言語で書き、フォームはXFormsで書く』などと宣言することはありえない」(Mistry)

 この戦いは、ウェブ関連技術の開発にかかわる駆け引きにおいて慢性的に生じている亀裂を浮き彫りにするものだが、その結果は電子フォームに関する各種オープン標準の行方に重大な影響を及ぼす。電子フォームは、ウェブ上や他のデジタルアプリケーションで情報を集めるために、最も一般的に利用されているツールだ。

 現在のウェブ標準をベースにしたフォームは、Googleの検索、Amazon.comでの製品購入、ブログのエントリー、オンラインでの納税申告、ウェブメールへのログインなど、さまざまな用途で使われている。

 業界では現在、新しいウェブアプリケーションプラットフォームの基盤となり、バックエンドのデータベースやCRMシステムと円滑にデータのやり取りが行える、一段と洗練されたフォームが望まれている。

 XForms対Web Forms

 XFormsは現行の標準ベースのHTMLフォームよりも進化しているが、現行世代のウェブブラウザはこれをサポートしていない。そのため、XFormsは苦戦を強いられるとの懸念を示すW3Cメンバーもいる。つまり、現在のブラウザを使っているユーザーがこの機能を利用するには、プラグインをダウンロード/インストールする必要があるが、それが足かせとなってXFormsの採用を遅れらせているというのが彼らの考えだ。

 これに対し、Web Forms 2.0は現行ブラウザと互換性があるが、ただしWeb Forms 2.0がスクリプトを利用することから、この提案を批判する人々もいる。これらの人々は、きわめて強力なアプリケーションの構築にはスクリプトは適していないと主張している。

 Web Forms 2.0が正式に承認されれば、W3Cに対して落胆する分派が少なくとも1つは出ることになる。

 WHAT-WGは仕様のドラフトをW3Cに提出する意向を明らかにしていることから、W3Cがウェブフォームに関して相反する2つの標準を推奨するという厄介な可能性も浮上している。

 PureEdge Solutions(本社:カナダ、ビクトリア)のシニアプロダクトアーキテクト、John Boyerは、「W3Cは、ウェブフォームに関する仕様の最終的な方向性を決めるにあたり苦労するだろう。自分たちがウェブ標準を策定できなくなることは絶対に望んでいないはずだ。同時に、2種類の標準を定めることで、どっちつかずの態度を示しているとは見られたくない。まだまだ決着は付かないだろう」と語った。

 単に注文用のフォームに情報を入力するユーザーにとっては、どちらの標準でも大差はないように思えるかもしれない。だが、あるフォームが収集したデータを標準準拠のデータベースやバンキングシステムに渡せるかどうか、あるいは特定のプロプライエタリなシステム内でしか扱えないのかどうかといった事柄が、この結果次第で決まる可能性がある。

 また、ウェブフォームを使った注文書が標準準拠のブラウザならどれでも利用できるようになるか、それとも特定のOSからしか使えなくなるかも、この標準争いの結果で決まってくる。もし特定のOSからしかフォームが使えないとなれば、その時Microsoftがどういう役割を担うことになるかと、ブラウザー開発元や他の関係者は不安を感じている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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(CNET Japan) - 2月18日13時31分更新

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