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2005年02月09日(水) 23時00分

名義株で読売本社調査委が報告書、3月中に是正目指す読売新聞

 読売新聞社は9日、テレビ・ラジオ局の株式を第三者名義で実質保有していた問題について、調査委員会(委員長=松田昇・前預金保険機構理事長)の調査報告書を公表した。同時に是正策を明らかにした。

 調査委員会は、本社と顧問契約のない社外の専門家で構成された。顔ぶれは、飯田英男・元福岡高検検事長、元東京地検特捜部検事ら弁護士8人、公認会計士1人の計9人。

 同委員会は昨年11月14日に調査を始め、本社の稟議(りんぎ)書や株券など原資料を昭和20年代までさかのぼって直接検証する手法で事実関係を調べた。また、多数の関係者からも事情聴取を行い、調査は2か月余りにわたった。

 報告書によると、昨年12月1日時点で本社が名義株を保有していたテレビ・ラジオ局は43。このうち14局が総務省令の持ち株制限を超えていた。超過の幅は0・3%から18・1%だった。

 しかし、本社は、地元企業への売却などにより名義株の解消を進めており、9日までに12局の名義株を解消し、省令超過も7局是正した。今月中にさらに8局の名義株を解消する予定で(うち省令超過の是正は1局)、残る他の放送局も来月末までにすべての問題点を解消する方針。

 本社は、是正策を一層強力に推進するため、関係部局による社内組織「株式問題対策委員会」を9日、発足させた。

 読売新聞グループ本社・内山斉社長の話「規制に触れる実態のあったことを深く反省します。実行中の是正策をできるだけ早く完了させ、問題点をすべて解消します。今後はコンプライアンス(法令順守)の徹底に一層、力を入れます」

 ◆総務省令を超過していた放送局は次の通り(いずれも昨年12月1日時点。カッコ内はすでに是正)

 【20%以上議決権保有制限を超過】=9局、うち5局は是正

 テレビ岩手、静岡第一テレビ、広島テレビ放送、テレビ長崎、(宮城テレビ放送、福島中央テレビ、テレビ新潟放送網、福岡放送、テレビ大分)

 【同一地域・複数局10%超議決権保有制限を超過】=4地域8局、うち1地域2局は是正

 岩手県=テレビ岩手とエフエム岩手、福島県=福島中央テレビとエフエム福島、新潟県=テレビ新潟放送網とエフエムラジオ新潟、(関東広域圏=日本テレビ放送網とエフエムナックファイブ)

 ◆調査報告書の要点

 【名義株問題の背景】

 昭和30年代以降、行政当局は、地域に密着した地方放送局をつくるため、新聞社などが放送局の株式を一定の比率以上持つことを規制してきた。

 しかし、新聞各社は放送局をめぐって出資競争を展開した。放送局側が資本不足を新聞各社のバックアップで補おうとしたこともあって、新聞各社が地元民間人などの名義を借りて株式を取得する名義株が多用された。こうしたことは昭和60年代まで続いた。

 【本社の名義株】

 本社の名義株は昭和30年代から始まった。名義人は移り変わりがあったが、昨年12月1日時点で本社関係者は30人(法人を含む)、社外関係者は67人(同)だった。

 名義株が存続した経緯をみると、本社の事情によるもの(本社が派遣した役員のハク付けにしたなど)のほか、名義人の事情によるもの(放送局の役員となった名義人が自己の地位を守るため固執したなど)、放送局の事情によるもの(放送局が本社の持ち株比率の見かけの増加を嫌って名義書き換えを拒否したなど)があった。

 【配当金など】

 株主への配当が行われた放送局の配当金はすべて本社が受領していた。社内関係の名義人が何らかの金銭などを受け取った事例は一切なかった。

 しかし、社外名義人の一部には謝礼金を支払っていた。昭和44年から平成8年3月まで27年間行われ、相手方は21人。名義を借りた当初におおむね100万円から300万円を支払うか、毎年約10万円から約50万円を継続的に支払うなどした。総額は約9200万円。1年平均約340万円、1年間1人当たりでは約16万円だった。

 【最近の免許申請】

 平成7年、郵政省の審査基準が改訂された。持ち株比率の規制が緩和される一方、省令の運用が厳格化され、放送局の免許申請にあたって名義株を合算することが明確にされた。

 本社は名義株解消を進めたが、適当な買い手を見つけられなかったことなどから、平成10年、本社との関係がわかりづらい名義株を外して計算した株数を放送局に伝達した。各放送局は、本社が伝えたとおりに記載した申請書を郵政省へ提出し、再免許を取得した。平成15年の再免許申請時も、本社は前回の手法を踏襲した。

 【調査委の提言】

 名義株自体は違法ではないが、放送局の免許申請に当たり、便法として用いられる名義株は、免許審査の公正さを害する脱法的行為である。他の新聞社も同様のことを行っていたと強弁しても、それで正当化されないことは自明だろう。

 名義株による操作は、社会が新聞社に期待するイメージを損ないかねない。社会的責任は軽いものではない。名義株の解消に努力すべきで、特に省令違反はすみやかに是正すべきだ。
(読売新聞) - 2月9日23時0分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050209-00000411-yom-soci