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2005年01月27日(木) 12時08分

ハンセン病療養所、6施設に胎児標本114体 検証会議朝日新聞

 「ハンセン病問題に関する検証会議」(座長・金平輝子元東京都副知事)は27日、国立ハンセン病療養所など6カ所に人工流産や人工早産などによるとみられる胎児が標本として114体保管されている、とする調査結果を厚生労働省に提出した。90年にわたる隔離政策で不法な中絶が常態化し、多くは目的もはっきりしないまま保管されてきたことが改めて裏付けられた。

 療養所は患者の隔離・絶滅を基本にし、事実上出産を認めていなかった。国家賠償訴訟で入所者が中絶の体験を証言、判決で人工中絶が3千件以上に上る、と指摘されたことなどを受けて調査していた。

 調査結果によると、保管されていたのは13ある国立療養所のうち、松丘保養園(青森県)1▽多磨全生園(東京都)35▽駿河療養所(静岡県)10▽邑久光明園(岡山県)49▽星塚敬愛園(鹿児島県)17の5カ所と、国立感染症研究所ハンセン病研究センター(東京都)2の計114体(男児52、女児51、不明11)。星塚敬愛園の1体は遺族に返されたという。このほか、死亡後に解剖された入所者の標本も2千体以上見つかった。

 標本が作られたのは、57体が1924(大正13)年から56(昭和31)年の間で、残りは不明。体長から胎齢を推測すると、29体は妊娠8カ月(32週)以降で、このうち16体は9カ月以降とみられる。旧優生保護法は76年1月まで中絶の基準を8カ月未満としている。

 同会議は「承諾のない強制的な中絶で、実質上は違法。少なく見積もっても25%以上は人工早産させられたか、正常に生まれた可能性がある」と指摘する。

 約8割は研究・実験の跡や記録がなく、標本にされた理由がはっきりしない。調査結果は「標本のビンが並ぶことが研究している証しであると考えていた医療従事者も多かった」と指摘。ほとんど放置された状態で、「胎児の尊厳を冒涜(ぼうとく)するもの」としている。

 同会議は、生まれた後に職員によって殺されたなどの証言もあることから、入所者らの意見を踏まえたうえで死産か新生児殺であったかどうかを調べるため、厚労省が司法に検視を申し出るべきだ、としている。

 邑久光明園の自治会などは「一日も早く供養したい」とし、検視などで胎児に傷を付けることに否定的な声もある。このため、今後、厚労省と全国ハンセン病療養所入所者協議会などが協議することになるとみられる。

 〈ハンセン病問題検証会議〉 強制隔離政策などに対する国の責任を認めた01年の熊本地裁判決を受けて、全国ハンセン病療養所入所者協議会、全国原告団協議会などとの合意に基づき、02年10月に厚労省が設置した第三者機関。隔離政策が長期間になった原因や人権侵害の実態、医学的・社会的背景や療養所での処遇などを検証、再発防止策を提言し、今後の疾病対策に役立てるのが目的だ。学識経験者や弁護士、元患者、報道関係者らがメンバー。3月に最終報告書を示す予定。(01/27 12:08)

http://www.asahi.com/national/update/0127/011.html