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2005年01月22日(土) 00時00分

ニュースその後:有料サイト閲覧料架空請求 「だまし分かっていたが…」 /埼玉毎日新聞

 ◇家族に知られたくない−−消費者金融に手出し計88万円支払い

 債権回収業者を装った架空請求で7000万円をだまし取ったなどとして先月までに県警生活安全特捜隊と所沢署に少年ら28人が摘発された。男子学生(20)は突然、インターネットの有料サイト閲覧料を架空請求された。「だまされているのは分かっていたけど家族に知られたくなかった。だれかに相談したら、恥ずかしいし、払った分がむだになると思った。何十万円も重なるともっと……」。事件を調べた捜査員によると、結局、学生は消費者金融にまで手を出し計88万円を支払ってしまったという。【村上尊一】

 学生の携帯電話にメールが届いた。▽利用サイト名▽事務手数料▽支払い期日▽振込先▽連絡先などが詳細に記されていた。末尾には「ご連絡がいただけない場合、貴殿に予期せぬ損害が被ることがございます」など脅し文句も添えてあった。

 身に覚えがなかった。

 −−おかしい。本当なら明細があるはずだから送ってください

 −−それはできない

 そんな電話のやり取りが続いたという。学生が電話を切っても相手はかけ直し「おたくが払わないなら家に連絡するから待ってろ」と怒鳴った。

 その日、学生が帰宅すると母から「電話があったよ」と請求相手の名を告げられた。「あれで怖くなりパニック状態になった」。学生は現金約5万円を振り込んだ。

 電話で報告すると「入金は確認しました。ただ他のサイトも登録されていて、債権譲渡を受けました。あと17万円払ってください」と言われた。

 「かぶせ」と呼ばれる追加請求である。「そんなのありえない」「もう払えない」。学生は拒み続けた。すると「これからお宅に伺います。この場合、延滞料と交通費が追加されますので」とたたみかける。

 学生は同様の手口で7回にわたり計88万円を支払わされた。お金はアルバイト代や友人から借りてねん出した。

 最後は「サラ金に借りろ」と脅され、会社員と身分を偽って消費者金融から30万円を借りた。

 同署によると、グループは消費者金融の債務者など約405万人のリストから無作為に相手を選び、メールを送りつけていたようだ。

 「すごくいい人そう」「トロイ感じ」「ちょっとバカな感じ」。身に覚えのない借金の問い合わせの電話が来ると、その印象をメモした。言いなりになりそうな人にだけ脅しや「かぶせ」を繰り返していた。

 請求を詳細に見ると学生の初回請求額は5万5125円だった。

 捜査員は「早く恐怖から解放されたいとの被害者心理につけ込むため、あえてポケットマネー程度に設定する」と言う。支払いを拒む相手は脅すものの、家に押しかけた例はない。結局88万円を支払ってしまった学生も、その後請求を無視し続けたが、何もなかった。

 捜査員は「彼らは請求も脅しも遊び感覚。労力をかけず払いそうな人間につけ込むだけ。徹底無視すべきだ」と言う。警察庁によると、全国で04年1〜11月、架空請求詐欺(恐喝含む)事件の認知件数は4523件で、被害総額は約47億円に上った。

http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/saitama/news/20050122ddlk11040296000c.html