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2005年01月13日(木) 00時00分

募金集団消えた:大阪・神戸で暮れにプツリ 確認寄付1件、代表は取材拒否毎日新聞

 ◇「難病の子に支援を」…「NPO緊急支援グループ」実はバイト時給1000円

 暮れの大阪や神戸の繁華街から、ある集団がこつぜんと姿を消した。黄緑色のジャンパーを着た若者たちが「難病の子供たちに支援を」と声をからし寄付を募る。主要ターミナルを利用する人にはなじみの光景だった。彼らは「NPO緊急支援グループ」と名乗っていた。NPO法人ではなく、任意団体だ。代表の男性(60)と実質主宰者の男性(33)は、ケーキ製造・販売アルバイト名目で求人広告を掲載し、若者を時給1000円で募金活動に雇っていた。職業安定法は虚偽の求人広告を禁じており、大阪労働局は「違反の疑いが強い」としている。募金総額は定かではなく、毎日新聞が確認出来た難病の子供への寄付は1件だけだった。【社会部取材班】

 ◆夜ごとの回収

 昨年11月中旬。グループが街頭で掲げた看板に代表者名も事務所の所在地も記載がない。取材班は疑問を抱き、午後9時半ごろから、活動を終えた若者たちをJR大阪駅前から追いかけた。

 大きな看板と募金箱を抱えて地下鉄に乗り、大阪市阿倍野区の路上へ。各方面から数十人の若者が集まって来る。そこに実質主宰者の男性がレンタカーに乗って現れ、募金箱を回収、同区内の自宅へ運び込んだ。

 数日後、若者たちの会話をとらえた。「まだバイト代がもらえない」。彼らはアルバイトだった。

 ◆ケーキ店名目で求人

 20歳代の女子学生は「時給1000円のケーキ店のバイトに応募した。地下鉄の出入り口で面接され、『ケーキの仕事はもう埋まった。同額の時給で募金ならある』と言われた」という。募金は昨年10月上旬から始まり、活動範囲は難波や阿倍野、京橋など大阪にとどまらず、神戸・三宮などにも及んだ。20歳代の男子学生は「1人が1日で5万〜1万円くらい集める。バイトは多い時で1日70人くらいいた」と証言。

 関係者によると、募金の金額を書き込んだとみられる実質主宰者のノートには、少ない日で十数万円、多い日は100万円以上が記録されているという。この数字通りに募金が集まっているとすれば、10月に活動した約20日間で計800万円を超す。

 ◆名義貸しで「迷惑」

 バイトを募集したケーキ店は、大阪・ミナミの喫茶店だった。メニューにケーキはない。店主は「常連客から『求人に使うので、名前を貸してほしい』と頼まれた。その後、店や周辺に問い合わせが相次いで迷惑した」と話した。この常連客がグループ代表だった。

 グループは昨年11月12日、東京にある難病の子供を支援するNPO法人に約51万円を寄付していた。実質主宰者はその払込用紙のコピーをバイトの若者に見せ、「きちんと寄付している」と話したという。同法人の事務局長は「普通は寄付の前に連絡があるのに、突然振り込まれた。高額の時給でバイトを雇って金を集める手法は我々には考えられない。お金は使わず保管している」と当惑している。

 代表の男性は「答える義務はない」と取材を拒否。昨年12月20日に取材した実質主宰者は「募金活動で人を募っても集まらないと思った」と説明。その数日後、集団は街から姿を消した。

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 消えた集団に関する情報やご意見をお寄せください。手紙(〒530−8251 住所不要)かファクス(06・6346・8187)、Eメール(o.shakaibu@mbx.mainichi.co.jp)で毎日新聞社会部へ。

http://www.mainichi-msn.co.jp/kansai/archive/news/2005/01/20050113ddf041040006000c.html