悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年01月12日(水) 14時48分

裁判員制度に備え、民事裁判官を刑事に“配転”読売新聞

 市民が刑事裁判に参加する裁判員制度が2009年までに施行されるのに備え、最高裁は今春以降、和解協議などで一般市民との対話に慣れた民事裁判官を、刑事担当へ“配転”させる方針を固めた。

 戦後、民事事件の増加に対応するため、刑事裁判官に比べ民事裁判官の割合が拡大し続けてきた中で、初の方針転換となる。民事裁判官のノウハウを刑事裁判にも注入することで、裁判官全体のコミュニケーション能力の向上を図りたい考えだ。

 裁判員制度では、裁判官3人と市民から選ばれる6人の裁判員(事件によっては裁判官1人と裁判員4人)が審理を行う。裁判官には、裁判員への説明や、有罪・無罪などを決める評議の進行役など新たな仕事が加わるが、従来の刑事裁判官は検察官や弁護士といった法律専門家への対応が中心だったため、裁判員と十分なコミュニケーションをとれるかどうかが課題となっていた。

 最高裁が昨年実施した裁判員制度の模擬裁判では、法律知識のない職員が裁判員役となったが、9人で話し合う評議で遠慮して発言しなかったり、量刑について意見を言いたがらなかったりする場面が続出。裁判長役の刑事裁判官からは「議論を深める能力の必要性を痛感した」という反省の弁が出た。また、法律用語について正確に説明しようとするあまり、裁判員にうまく意味が伝わらない問題も指摘された。

 こうした中、最高裁は、訴訟当事者の市民と直接議論したり、和解を促したりしている民事裁判官に注目。適任者を選び、刑事担当に配置替えしていくことにした。この中には、地裁の裁判長クラスなどベテランも含まれる見通しだ。

 全国の裁判官の総数は現在、約2360人。多くの裁判官は、任官10年目前後から「刑事畑」と「民事畑」に分かれるが、民事裁判官の数は、刑事裁判官の2倍近く、東京地裁では、約3倍に上る。

 戦後、民事訴訟の件数が増え続けているのに対し、刑事事件の起訴件数(略式起訴を除く)は1992年まで減少してきたことが背景にある。最高裁事務総局によると、「過去に刑事裁判官を多数、民事に移した時期はあったが、逆の配置は初めて」という。

 裁判官全体の定員も増やしていく方針で、毎年、数人から30人程度だった増員数は、2002年度から約50人に、来年度は一気に75人に拡大される。弁護士からの任官も活発化させたい考えだ。
(読売新聞) - 1月12日14時48分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050112-00000008-yom-soci