悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年01月06日(木) 00時00分

振り込め詐欺被害者救済に道 被告不詳で提訴可能 東京新聞

 振り込め詐欺(おれおれ詐欺)被害者が金を取り戻そうと、振込先に指定された片仮名の口座名義人を相手に提訴したところ、富山地裁が「被告の氏名や住所を特定していない」と“門前払い”していた裁判で、名古屋高裁金沢支部は五日までに、地裁の命令を取り消す決定をした。

 安江勤裁判長は「裁判所が銀行に照会すれば漢字氏名や住所が明らかになると予想できる」とし「被告の特定が困難な事情があり、原告側が特定のため努力をしている例外的な場合には、裁判所から銀行への照会をすることなく直ちに訴状を却下することは許されない」とした。

 原告側弁護士によると、こうした高裁判断は初めて。訴訟に頼らざるを得ない振り込め詐欺の被害者救済に、道を開く決定となった。

 原告は富山県滑川市のパート女性。訴状などによると、昨年八月「長女が交通事故を起こし、保釈金が必要」と百万円をだまし取られた。後で気付き、現金自動預払機(ATM)の振り込み控えに記された「ヨシザワジュンイチ」の身元を銀行や警察に尋ねたが、いずれも情報提供を拒否。やむなく十月「住所不詳ヨシザワジュンイチ」を相手に提訴した。

 富山地裁は、訴状の被告名が片仮名で住所不詳とされていることを理由に、原告側に「被告の住所および氏名を特定せよ」と命令。原告側は事情を説明、「裁判所が銀行に照会すべきだ」と求めたが地裁は受け入れず、訴状却下の命令を出したため、名古屋高裁金沢支部に抗告した。

 高裁支部決定は、原告が手段を尽くしたと認定した上で「提訴と同時に裁判所による銀行への照会も申し立てている。照会すれば、訴状の被告氏名や住所が補正されることも予想できる」とした。

■メモ 

 <訴状却下命令> 裁判を起こした原告に対し、訴状に不備があり受理できないとして裁判所が提訴を退ける命令。裁判所は原告側から受け取った訴状に原告と被告の氏名や訴えの趣旨など必要な事柄が記されているかどうか審査し、不備があればまず「補正命令」を出す。補正されなければ訴状却下を命令する。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050106/mng_____sya_____004.shtml