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2005年01月05日(水) 00時00分

『振り込め恐喝』止めた! “民間の交番” セーフティーボックスサルビアの前に立つ山本直さん(右)と泉悦子さん=東京都町田市で 東京新聞

 昨年十一月に東京都町田市の繁華街にできたばかりの“民間の交番”に勤務する二人が、「娘を誘拐した」と脅して身代金を要求する「振り込め恐喝」の被害を未然に防いだ。民間の交番は、地元の住民たちが自主的に取り組んでいる防犯活動の拠点。恐喝被害者の男性は暴力団を名乗る人物に百万円を脅し取られる寸前で、地域の住民パワーが早速、頼もしい成果を挙げた形だ。

 この「交番」は、都内で四番目の民間の交番として開設された「セーフティーボックスサルビア」。事件を防いだのは、同市のシルバー人材センター会員で、サルビアに勤務している山本直(すなお)さん(72)と泉悦子さん(63)。

 二人によると、昨年十一月三十日午後一時十分ごろ、サルビアの前に止まったワゴン車に山本さんが近づくと、運転してきた五十代くらいの男性が硬直した表情で人さし指を立てて口に当て、「助けてください。娘が人質になり脅されています」というメモを差し出した。

 助手席の携帯電話は通話中。次に渡されたメモには指定暴力団名が記してあった。暴力団を名乗る人物に脅され、携帯電話をつないだまま誘導されてきたようだった。

 車は近くの交差点の信号待ちの列へ。駆け寄ると、男性は銀行名を記したメモを手渡した。

 サルビアでは、泉さんが近くの警視庁町田署交番に通報。山本さんは銀行へ急いだ。男性は銀行でいったんはお金を振り込んだが、駆け付けた署員が銀行側に依頼して送金手続きを停止。男性が娘の会社に電話して無事を確認し、誘拐は作り話だったことが分かった。

 サルビアは同月五日、地元の商店会や町内会などが運営主体となってJR町田駅近くの歩道上に開設。シルバー人材センターの紹介を受けた会員らが毎日午前十一時から午後九時まで、二交代で二人ずつ詰めて道案内などをしている。

 お手柄の山本さんは「偶然です。地元で生まれ育ち、何か世の中のためになれればと思っていた」。泉さんは「たまたま私たちの当番だっただけで、ほかの人たちでも同じことをしたはず」と話している。

 ◇メモ 振り込め恐喝

 誘拐を装って身代金を要求するなどの手口。警視庁によると、被害は昨夏以降急増。昨年1月から11月末までの認知件数は計201件、被害総額は約3億7000万円に上った。捜査幹部は「振り込め詐欺に比べ、相手を冷静にさせないことができる」と急増の背景を分析している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050105/eve_____sya_____001.shtml