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2004年12月22日(水) 15時13分

<院生拉致殺害>遺族が全面勝訴 兵庫県警の捜査ミス認定毎日新聞

 神戸市西区で02年3月、神戸商船大(現神戸大)の大学院生、浦中邦彰さん(当時27歳)が暴力団組長らに拉致、殺害された事件で、兵庫県警が適切な捜査を怠ったとして母親(64)が県や組長らを相手取り、総額約1億3700万円支払いを求めた国家賠償請求訴訟の判決が22日、神戸地裁であった。
 村岡泰行裁判長は「浦中さんの探索を怠るなど警察官の権限不行使は著しく不合理」として一連の捜査ミスを違法と認定した。「現場での組員らの攻撃的な行動からすれば、浦中さんが組員らに連れ去られて暴行を受け、死亡することも予見しえた」と指摘して捜査ミスと被害者の死亡との因果関係を認め、県に約9700万円の支払いを命じる原告側全面勝訴判決を言い渡した。組長らも連帯して支払うよう命じた。
 捜査ミスと被害者の死亡との因果関係が争われた訴訟は、埼玉県桶川市のストーカー殺人事件(99年)や兵庫県姫路市の女性殺害事件(同年)があるが、因果関係が認められたのは初めて。
 訴えによると、浦中さんは02年3月4日未明、神戸市西区の駐車場で、因縁をつけてきた組長ら組員数人の集団暴行を受けた。110番通報で神戸西署員ら計18人が現場に駆けつけたが、組員の乗用車に監禁された浦中さんを発見することなく引き揚げた。浦中さんは拉致され、明け方まで暴行を受けたうえ、河川敷に放置され死亡した。
 原告側は(1)通報内容から危険の切迫が明らかだったのに現場到着が遅れた(2)一緒に暴行を受けた友人が拉致された可能性を伝えたのに捜索せず、情報共有もしなかった(3)職務質問をしたのは組員1人だけ(4)拉致され暴行を受けている可能性があったのに緊急配備など広域捜査をしなかった——など一連の捜査ミスが違法と主張。「現場で浦中さんの捜索をして捜査を継続さえしていれば拉致、殺害されることはあり得ず、違法捜査と結果発生には因果関係がある」と主張した。
 被告側は「警察官の権限行使は広範な裁量に委ねられており、一連の捜査は違法とは言えない」と主張。「警察官は浦中さんが立ち去ったと判断したもので、拉致、殺害を予見できなかった。浦中さんへの暴行を現認しておらず、組員らに強制手段をとることはできなかった」と予見可能性を否定した。
 兵庫県警は02年5月、「的確な捜査を怠った」として当時の神戸西署長ら計10人を処分。刑事裁判では、組長ら7人が殺人罪などに問われ1審・神戸地裁が今年8月、組長に懲役20年など全員に有罪判決(4人が確定)を言い渡している。
【隅俊之】
(毎日新聞) - 12月22日15時13分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041222-00000064-mai-soci