悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2004年12月20日(月) 03時52分

NHK特集番組 謝罪に「まるで人ごと」 九州の視聴者冷ややか西日本新聞

 職員不祥事を検証するNHKの特集番組が放送された十九日夜、スタジオの特設電話は鳴り続け、視聴者の怒りや不満がぶつけられた。生中継で「慚愧(ざんき)にたえない」と頭を下げた公共放送トップの謝罪に対して、九州の視聴者たちは「まるで人ごと」と厳しい視線を送っている。「皆さまのNHK」は、失った信頼を回復できるのか。

 北九州市門司区の主婦(38)は「NHKはニュースに力を入れているのだから、特集番組ももっと早く放送すべきだった。いまさら放送しても、しらじらしい感じがする。視聴者に対して失礼だ」と怒りをあらわにした。

 「識者に批判を言わせるだけ言わせて、そのまま事態を収拾させようとしているのではないか」。福岡市早良区の公務員男性(33)は、番組のねらいに疑いを抱く。海老沢勝二会長の進退問題については「通常の公的機関なら、トップが引責辞任するのは常識。NHKだけ許されるのはおかしい。マスコミだからという甘えとおごりがあるのではないか」と話した。

 福岡県碓井町の男性事務職員(51)は、出演者の質問に対する海老沢会長の態度について「反応があいまいで、自分には無関係という態度がありあり」とあきれ顔。不祥事が連続して明らかになったことを例に挙げ、「今回は、着服金額が大きかったから表面化したが、帳消しにしたケースもあるのではないかとうたぐってしまう。番組で告知した受け付け電話の番号にかけたが、話し中でまったくつながらない。対応が甘い」と憤慨していた。

■厳しい声2万7500件

 十九日に放送されたNHKの特集番組の冒頭では、海老沢会長以下の幹部が記者会見で頭を下げる映像をはさみ、怒りをぶつける視聴者の姿が次々に流れた。会長個人に怒りが向けられていることをNHK自身が自覚してか、「会長がワンマン。あの人がやめなきゃ」という意見も紹介された。

 討論会はNHKで一番大きいというスタジオで行われた。視聴者からのファクスや手紙を載せた大きな台が置かれ、後方には、百人近い電話受付係が並ぶ。NHKが意見の受け付けの電話番号を告知した直後から、一斉に電話が鳴り始めた。番組が始まって一時間もたたないうちに、電話はつながりにくくなった。

 画面の下方には、番組に寄せられた視聴者の意見が次々と表示された。ここにも「経営陣は総退陣を」など、厳しい意見が続いた。番組に寄せられた意見の総数は、メールなども含め約二万七千五百件に上った。海老沢会長は「慚愧(ざんき)にたえない。意見を深刻に受け止めて努力する」と伏し目がちで語った。

 海老沢会長はおわびと改革への努力を繰り返し述べた。だが、「なぜこんな事態になったのか」との疑問への明確な答えは聞かれず、批判を受け止めるだけという姿勢が目立った。番組の最後で、討論に出たジャーナリスト鳥越俊太郎氏は「NHKが何を変えようとしているのかよく分からなかった」と言い切った。

■海老沢会長の発言要旨 一部の不心得者が起こした/信頼回復が責務

 特集番組「NHKに言いたい」に生出演した海老沢勝二会長の主な発言は次の通り。

 【陳謝】 一連の不祥事で視聴者の信頼を損なったことをあらためて深くおわびする。皆さまの厳しい意見や批判を率直にうかがって抜本的な改革を進める第一歩としたい。

 【事件認識】 一部の不心得者が放送人としての倫理観に欠け、公金に手を出して起こした事件。職員一人ひとりが危機感を持ち、いい番組を一本でも多く制作していくことで償っていきたい。

 【検証番組】 事件の全容解明が進んでいる。あらためて検証番組を制作する。

 【国会中継問題】 (国会参考人招致を中継しなかったことについて)隠ぺいするつもりは毛頭ない。記者団とのやりとりで「編集権の問題」と失言してしまった。今思えば中継していれば良かった。逃げ隠れするつもりはない。

 【進退問題】 改革路線を進めながら道半ば。ここで職を投げ出すのではなくて、信頼回復と再発防止を進めるのが私の責務。理解が得られるような来年度の事業計画や予算を編成するのが課題。改革に向けて道筋を作る。軌道に乗せた時点で身の処し方をしっかりと判断したい。

 【チェック機能】 代理請求という手続きが巧妙に利用され、盲点となった。部長レベルで止まっていた。管理体制が不十分だった。

 【今後の具体策】 年明けにも各界の人に集まってもらってNHK全般について意見を聴く研究会や懇談会を開くなど、再発防止策を強化したい。来年度は視聴者の意見を聴く機会も大幅に増やしていきたい。

 【特番の総括】 視聴者の意見をいただいた。さらに反省に反省を重ねて出直さなければならない。視聴者の立場に立って番組を制作することでお返しするという謙虚でまじめな心を呼び起こし、期待に応えたい。
(西日本新聞) - 12月20日3時52分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041220-00000019-nnp-kyu