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2004年12月17日(金) 00時19分

反戦ビラ訴訟、3被告に無罪 地裁八王子支部朝日新聞

 自衛隊のイラク派遣反対を自衛官やその家族に訴えるビラを防衛庁官舎の新聞受けに入れたとして、住居侵入の罪に問われた市民団体の3被告について、東京地裁八王子支部は16日、全員に無罪判決(求刑はいずれも懲役6カ月)を言い渡した。長谷川憲一裁判長は「住民のプライバシー侵害の程度は低く、ビラ入れが憲法で保障された政治的表現活動の一つとして民主主義社会の根幹をなすことを考えれば、刑事罰に値するほどの違法性はない」と述べた。

 無罪となったのは大洞俊之(47)、大西章寛(31)、高田幸美(31)の3被告で、約10人の「立川自衛隊監視テント村」のメンバー。配布したビラには「自衛隊のイラク派兵反対! いっしょに考え、反対の声をあげよう!」などと書かれていた。

 ビラ入れのために他人の敷地に入る行為は、刑事罰を科すほどの違法性があるのか▽それが表現の自由を保障した憲法とのかねあいでどう評価されるか——が裁判の争点だった。

 判決はまず、3人が無断で官舎に立ち入ったことについて、「住民らの意思に反しており、住居侵入罪を構成する要件にあたる」と判断。そのうえで、「たとえ要件を満たしても、動機や行為の態様、被害の程度などを考えたときに、違法性が低く犯罪が成立しない場合もある」とした。

 これを踏まえて、判決は3人の行為を検討。(1)自衛隊のイラク派遣に関する見解を伝えるという動機は政治的意見の表明として正当(2)訪問販売や勧誘行為などと比べ、居住者が被る迷惑は少ない(3)住民の被害感情を考えても被害の程度は低い——と指摘した。

 さらに判決は、「ビラ入れは政治的表現の一つで、商業的宣伝ビラの配布に比べて優越的な地位にある。それなのに、正式な抗議や警告といった事前連絡もせずいきなり検挙し、刑事責任を問うのは憲法の趣旨から疑問だ」と批判。「刑事罰を科す程度の違法性はない」と結論づけた。

(12/16 23:05)

http://www.asahi.com/national/update/1216/020.html