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2004年12月13日(月) 09時45分

P2P ネットワークに著作権侵害利用の責任は? 舞台は最高裁へjapan.internet.com

米最高裁判所は10日、ユーザーの著作権侵害について、ピアツーピア (P2P) ネットワーク側の責任の有無を問う MGM Studios と Grokster の案件に関し、口頭弁論を2005年3月に開始すると発表した。両社の争点は、著作権コンテンツ事業を展開する映像/音楽業界と P2P 関係者との間でその理非が分かれ、1984年に Sony の『Betamax』に対して下った歴史的判例に挑むケースとなる。

映像/音楽業界は、Grokster のほか、『Morpheus』を運用する StreamCast Networks や『Kazaa』を運用する Sharman Networks など、P2P 企業のファイル共有ネットワーク上で、著作権保護対象となるデータの違法配信が発生していることに対し、ネットワークを運用する P2P 企業側に責任があると主張している。しかしこの主張は、ロサンゼルス連邦地方裁判所およびサンフランシスコの第9巡回控訴裁判所において、すでに2度にわたって棄却された。

両審理では、判決にあたり Sony の VTR 規格 Betamax に関する判例を取り上げた。Betamax については、20年前米国最高裁において、新技術の使用によって著作権の侵害が発生することは、その技術を禁ずることの妥当な理由にならない、という判決が下っている。

MGM と Grokster の係争は、2年以上前から始まっている。オリジナルの Napster が法廷で敗れて閉鎖に至った後、米国の映像/音楽業界は、ほかのファイル共有ネットワークに鉾先を向けるようになった。

地裁では Stephen Wilson 判事が、Grokster 側を支持する 裁定 を下し、合法的な用途に用いることもある可能性を含め、P2P ソフトウェアを利用者がどのように使用するかまで、Morpheus が管理することはできないとした。

Wilson 判事はさらに、オリジナルの Napster と後続の P2P ネットワークを区別した。Napster の場合、交換ファイルのインデックスを、中央サーバーで保持していた。しかし Grokster や Morpheus の場合は、分散型の P2P ネットワークで中央サーバーが存在しない。そのような状況下では、それぞれの運営会社が顧客の行動をコントロールすることはできないと裁判所は判断した。

映像/音楽業界はこの判決に控訴したが、控訴審でも同じ 判決 が下った。2003年8月、Sidney R. Thomas 控訴審判事は、「ファイル共有技術には、著作権を放棄していたり、非常にゆるい制限しかかかっていないアート作品や講演記録の配布コストを大幅に削減すると共に、その配信管理の集約化を回避できるなど、さまざまな効用がある」との見解を示した。

映像/音楽業界は、オリジナルの Napster を廃業に追い込むことには成功したが、その後分散型 P2P ネットワークについて一連の敗訴を経験していることから、今回最高裁が審理を行なうと判断したことに、業界各社は歓迎の意向を示している。



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(japan.internet.com) - 12月13日9時45分更新

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