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2004年12月06日(月) 23時45分

ネットに潜む危険を回避するには--「まず、顔をあわせて話そう」MYCOM PC WEB

「インターネットや携帯電話は便利だが、危険性ももっている」コンピュータソフトウェア著作権協会 (ACCS)の久保田裕専務理事が、ITと子供たちの関係に警鐘を鳴らした。東洋英和女学院中学部は、保護者向けに講演会を開催、「インターネット・携帯時代の危険な遊び〜保護者のための情報モラル入門〜」との標題で、久保田氏が登壇した。

「パソコンやインターネットでデータがやりとりされる時代にあって、子供たちに情報の扱い方を教えていないと、情報にかかわる犯罪に巻き込まれたり、犯罪を引き起こしたりしてしまう。機器の使い方より、情報そのものの扱い方のほうが重要だ」と久保田氏は指摘する。

パソコンから携帯電話へと、技術の流れは速い。これまでは、学校でも家庭でも、子供たちがパソコンを使う場面には教師や親の目が届いていたが「携帯電話をもたせたら、学校、父兄はとても管理できない。従来、子供がパソコンを使用するにあたり、有害情報を遮断したり、肖像権、著作権などについて教えたりすることはできたわけだが、それも携帯電話の場合、難しく」(久保田氏)なっているのが現実だ。

携帯電話向けインターネットには、事業者公認ではない非公式サイトが多くあり、簡単にアクセスできる。「子供がどこにいるか、すぐにわかる。位置情報も表示されるGPS機能がある、といった理由で、便利だから、というだけで携帯電話を与えていないか。子どもたちに携帯電話をもたせるかどうか考える際に、親は携帯電話の機能・使い方を理解しているか」と、久保田氏は携帯電話の問題点を提示した。

警察庁によれば、出会い系サイトを巡る事件での被害者の約85%は18歳未満の児童だという統計がある。これらの事件のおよそ95%で、携帯電話が使われている。「常に連絡をとるために携帯電話が必要なら、特定の番号にしかつながらないとか、(安全な)公式サイトにしかアクセスできないようにするかしなければ、その隙に、子供たちは無防備に使ってしまう。出会い系サイトをみたり、メールが送られてきたり、その結果とんでもないことになる」(同)こともありうる。

また、久保田氏は携帯電話を介した個人情報の「流出」に注意を促す。「携帯電話を買い換える場合、中古品引取り業者に売る例があるが、こうした『市場』で中古の携帯電話を求める層は、実は、個人情報を買っている。携帯電話付属のカメラで撮った写真は削除しても、特別なソフトを使えば、ある程度復元できる。あるいは、端末に蓄えられた他人の電話番号、メールアドレス、メールの内容など、自分のものではなく他人の情報だが、これらを、たとえば中学生がきちんと管理できるかどうか。携帯電話やパソコンを紛失したらクビになる会社もある。これらに保存された情報は、会社のものであり、重大な機密が含まれていることもあるからだ。いまや、情報化の進展でこういう社会になっている。インターネットは、一旦情報が流れたら、もはや回収はできない。便利だが危険性ももっている」(同)。

携帯電話やインターネットは、子供たち同士の関係にも大きな影響を及ぼしている。「ネットの掲示板やチャットで、顔見知りの人間が自分のことを書いていたら、大人であっても、あまり気分のいいものではないことがある。普段顔を合わせている人が匿名で書き込んでいたら、直接言ってくれればいいのに、と感じる」(同)。子供たちであれば、なおさらこうした不快感は、何らかの諍いのもとになりやすい。「人は実際に会って話せば、五感を使って、さまざまな表現をすることができるが、文章だけでは、言いたいことが十分に通じるとは限らない。電子メールや掲示板はそういう性質のツールだ。どんな場合に、どのようなメディアを使えば効果的なのか。電子メールでごめんなさい、というのは便利だが、あまりいいことではない。メールだけによるコミュニケーションは軽く、壊れやすい。一番いいのは、顔をあわせて話すことだ」(同)

久保田氏は以前の講演後「携帯電話を憎んでいるのか」と言われたことがあるという。しかし「敵視しているわけではない。技術を否定しているのでもない。障害をもっていたり、引きこもりだったりした場合など、電子メールがより効果をもつこともある」(同)と、携帯電話や電子メールの効用も認めている。ただ「それは例外的であり、そういう特殊なことを一般化するのはおかしい」と主張している。

ITの問題点、著作権、個人情報、プライバシーの重要性など、学校、親は、正しく子供たちに教育しなければならないが、久保田氏は「それでは、我々大人自身が、どこまで、これらを気にかけているか」と問う。「皆さんのご家庭のパソコンで使っているソフトは、オリジナルかコピーか。コピーを使っているとしたら、子供たちに著作権の重要性を説くことはできない。ただ、著作権法は、クリエーターを守って、文化を保護するためのもので、単に禁止ばかり、というわけではない。コピーするなら権利者の許諾を得なさい、と言っている。許諾なしでコピーするのが違法だということだ。法を守らなければ、罰を受ける。モラルは精神であり、これには背いても罰せられない。心の教育が大事という考え方もあるが、こんなことはしてはいけない、としっかり教えることが重要だ」 (同)。

改正により、著作権法違反の刑罰はますます重くなってきている。「経済、産業のソフト化で、知的財産、情報の価値が大きくなっている」(同)からだ。久保田氏は「日本は知的財産立国を標榜しており、コンテンツで外貨を獲得しようと考えている。こうしたコンテンツを保護するために著作権はいっそう重要性を増している」と語り、著作権を守ることが、日本の未来に大きくかかわっていることを強調した。

(大川淳)

東洋英和女学院
http://www.toyoeiwa.ac.jp/

コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)
http://www.accsjp.or.jp/

(MYCOM PC WEB) - 12月6日23時45分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041207-00000092-myc-sci