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2004年12月06日(月) 17時07分

規制と表現の自由「ネット殺害映像」論争 香田さん事件朝日新聞

 イラクで武装グループに拘束、殺害された福岡県直方市出身の香田証生(しょうせい)さん(24)の殺害映像が、ネット上に流されてから1カ月が過ぎた。ネットの世界ではコピーされた映像が出回り、事件をちゃかした書き込みもあって、東京法務局が「人権上問題がある」と管理者に削除を要請した例もあった。一方で、プロバイダー側の自主規制による削除にユーザー側が反発、「表現の自由」論争に発展するなど波紋が広がっている。

 問題の映像は11月2日、「イラク・アルカイダ機構」を名乗る組織がネットに流した。

 群馬県の自営業男性(30)はオークションサイトを見ていた。「こんなものを売っているのはお前か」という書き込みを見つけ、クリックすると殺害映像が流れてきた。別の男性(30)は、野球のニュースを読もうとサイト内の掲示板を探していたところ、この映像を張り付けてあるページを偶然、見てしまった。

 いずれもプロバイダー側がすぐに削除したが、この2人は「見たくなかったのに何の警告もなかった。精神的にショックを与えるものには何らかの規制が必要だ」と主張する。

 しかし、法律を整備して規制するのは困難というのが専門家の見方だ。

 ネット問題に詳しい落合洋司弁護士(東京弁護士会)は「法で規制するにしても、対象となる『いたずら』や『不快な表現』の明確化が難しく、表現の自由に対する過度の規制になる恐れがある」と指摘する。

 ほかにも、ちゃかした文言とともに映像を載せたり、「肝試し」のように使われたりしたケースがネット上で相次いだ。

 多数の苦情が寄せられたある掲示板について東京法務局は11月4日、「死者を冒涜(ぼうとく)し、遺族の思慕の感情を著しく損なうなど、明らかな人権侵害がある」と、掲示板の管理者に削除を要請。管理者も応じた。

 一方で、プロバイダー側が自主規制して削除する動きも出ている。

 あるプロバイダーは、武装グループが殺害映像をネット上に流した理由を論評した掲示板1ページを丸ごと削除した。映像自体はなかったが、利用規約を挙げて「公序良俗に反する」とした。

 しかし、利用者の間では「訴訟リスクを回避するための措置で、行き過ぎ。表現の自由が侵害された」との反発が根強く、プロバイダーに質問を出すなどの動きが広がっている。

 10月には国と業界団体が、掲示板についてプロバイダーがどこまで責任を負うべきかガイドラインを作った。公的機関の削除要請には強制力がなく、あくまでプロバイダー側の判断としている。そのため要請通りに削除しても、逆に利用者から「表現の自由」を理由に訴えられる可能性もあるという。

 落合弁護士は「プロバイダー側は、自主的なパトロールや利用者からの情報提供などを組み合わせて、健全化への努力をするしかない」と話す。(12/06 17:07)

http://www.asahi.com/national/update/1206/023.html