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2004年11月29日(月) 01時44分

11月29日付・読売社説(1)読売新聞

 [司法試験]「『合格者増』の要求は本末転倒だ」」

 一部の学生から、新司法試験の合格率の数字を不安視する声が上がっている。教員たちも「このままでは制度が崩壊する」として、国に合格者数拡大を求めている。

 だが、これには賛成できない。合格率アップのために合格者数を増やせ、というのでは本末転倒だ。

 法務省の試算値が先月、明らかになったことが議論のきっかけだった。

 今春、一斉に開講した六十八の法科大学院には、計五千七百六十七人が入学した。このうち、法学既修者の二年コースの学生が二〇〇六年度、初めての新司法試験に挑戦する。

 試算によれば、新司法試験の合格者枠を八百人とすると、約二千三百人と予想される受験者数に対する合格率は34%。翌年以降は三年間の未修者コースを終えた者や再受験組も加わるため、20%前後で推移していくという。

 法科大学院の側は、この数値が低すぎる、と反発している。

 三年半前、法科大学院構想を打ち出した政府の司法制度改革審議会は、「七〜八割」が合格できるような充実した教育を大学院に求めた。

 だが、この数字は教育上の到達目標を例示したもので、実際の合格率を定めたものではない。学生たちも、それはわかっていたはずだ。

 法科大学院は法曹養成のプロセスの一つで、入学者全員に法曹の道を保障しているわけではない。合否には、本人の努力や資質はもちろん、教員の授業法、指導力も大きく影響してくる。質の高い授業を学生に提供することが、何より大事なのではないか。

 教員の中には、合格率が低すぎると、大学院の授業が「受験教育」の悪弊に陥る、と主張する声がある。社会人や法学部以外の出身者が、法曹への道を断念してしまう、とも指摘する。

 これらは、合格者数が増えさえすれば解決する問題ではない。社会のニーズの高まりに応じ、法曹の量、質ともに充実させるのが改革の理念だ。これに沿って二〇一〇年までに合格者数を現在の倍の三千人にする目標を掲げている。

 教員たちの主張には、合格者を出さないと学生が来なくなる、という一部大学院の危機感が見え隠れする。

 来春には、筑波、信州大など新たに六つの法科大学院が開校する見通しで、入学定員はいよいよ六千人に迫る。

 新司法試験が始まれば、すぐに大学院の序列化が起きる。適正な大学院数、学生数に落ち着くには、一部大学院の淘汰(とうた)もやむを得ないのだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041128ig90.htm