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2004年11月28日(日) 09時47分

無償で返還の略奪名画、あっさり売却 落札額2億円朝日新聞

 日本に渡ったナチスの略奪絵画として今年、元所有者の遺族に返還された印象派の画家アルフレッド・シスレーの「春の太陽・ロワン川」(1892年)が今月3日、ニューヨークのオークションに出品され、約219万ドル(約2億3000万円)で落札された。遺族によれば返還は「いかなる金銭的交渉もなく」、無償だったとみられる。美術関係者の間には「せっかく返したのに、あっけなく売られた」と戸惑う声が広がっている。

 日本の法律では「盗品」と知らされない購入は所有権が認められるが、絵は3月に日本の所有者からフランスの元所有者でユダヤ人銀行家、故ルイ・イルシュ氏の遺族に約60年ぶりに返還された。第2次大戦中、ナチス・ドイツによってもう一点のシスレー作「モレの波止場」とともに略奪されたとされる。6月にはパリで記者会見が開かれ、各国のメディアは返還のニュースを世界中に報道した。日本の所有者は明らかになっていない。

 絵は85年、東京と福岡、奈良で開かれた「シスレー展」に「東京・個人蔵」として出品された。それを知った遺族が90年から調査を始め、99年には所有者不明のまま「盗まれた」とフランスで刑事告訴した。昨年末には、同国政府の文化財不正取引対策の専門官が来日し、仏大使館員とともに美術関係者らに聞き取りをしている。

 遺族の一人ピエール・ド・ギュンズビュール氏は朝日新聞パリ支局の取材に対して、10年以上かかった返還を「感動的な物語」と文書で回答。一方、1年もたたずに売却したことについては「個人的なことだ」とした。

 ただ、返還されたナチスの略奪美術品が売却されるケースは、海外では珍しくはない。略奪美術品問題に詳しい美術評論家の瀬木慎一さんは「調査や裁判費用がかさむため、返還されてもすぐに売却する場合がしばしばある」と指摘する。売却金を複数の遺族で分け合うケースもある。

 ニューヨークで近現代美術を扱う画商で、略奪絵画の取引の仲介をした経験のある真田一貫さんは、「略奪絵画は遺族にとってあくまで先祖の高価な財産にすぎず、売却はむしろ当然だ」と話している。(11/28 09:46)

http://www.asahi.com/national/update/1128/006.html