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2004年11月02日(火) 00時00分

日韓の12人 ネットで意見交換インターネットで交流する日韓の若者たち=長崎市平野町で朝日新聞・

10月24日に始まった国連軍縮週間で、被爆地・長崎でも様々な催しがあった。最終日の30日、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で開かれた「アジア青年平和交流事業」報告会もそのひとつ。同館のインターネット会議システム「ピースネット」で長崎と韓国・釜山をつなぎ、長崎の5人と釜山の7人が平和や戦争について考えを述べた。学生たちの心に「異国の人同士の友情が平和の礎になる」と共通の思いが広がった。

報告会では、インターネットの画面を通して語り合った。今夏の交流事業から2カ月が過ぎ、平和への思いが深まっている様子がうかがえた。

  加害の歴史

  「陝川(ハプ・チョン)で、被爆した女性に会った。長崎で家族を失い、傷を負った彼女は『原爆手帳をください』と私に訴えた」。長崎大2年の中村麻美さんは、被爆した韓国人が住む原爆ホームで「日本はいまだに戦争責任を果たしていない」と感じた。

  中村さんは被爆3世。祖母の話をしたら、女性は涙を流して聞いてくれた。「被害だけを主張するのは建設的ではない。自分の傷を理解してもらうには、相手の傷を理解しなければならない」。日本の戦後補償について学び始めた。陝川で聞いた叫びに報いるためだ。

  長崎純心大4年の永田鮎美さんも「陝川の寺に数え切れないほどの位牌(い・はい)が並んでいるのを見て、『苦しんでいるのは日本人だけではない』と分かった」と話した。

  平和とは何か

  長崎で聞いた被爆語り部2人の話は、韓国の学生の心を打った。

  東(ドン)釜山大2年の金映大(キム・ヨン・デ)さんは「戦争の終結のために、原爆という手段を選んだ恐ろしさを知った」。新羅(シル・ラ)大4年の金泰希(キム・テ・ヒ)さんも「原爆がいかに恐ろしいか、戦争がどんなにいけないことかを理解できた」と話した。

  東西(ドン・ソ)大3年の相雄(ベ・サン・ウン)さんは「平和とは、命を大切にすることだ」という語り部の言葉にショックを受けた。

  長崎を訪ねる前、辞書で「平和」を調べた。「平穏なこと」「戦争がないこと」などと書いてあった。「長崎へ来る前、『平和とは何か』と悩んだ。語り部の話を聞き、家族で楽しくご飯を食べ、山でセミの声を聞くことが平和なんだと実感できた」と語った。

  互いを知ること

  学生らは、長崎原爆資料館や韓国の独立記念館を訪ね、原爆が長崎にもたらした惨禍と、植民地時代に朝鮮半島で起きた事実に触れた。

  蔚山(ウル・サン)大4年の孫庚喜(ソン・ギョン・ヒ)さんは「日本の学生らに、韓国の深い部分を見てもらえてうれしかった」と言った。「私にとっても、祖国の歴史を勉強する機会だった。母国を十分に知ってこそ、国際交流もうまくいくと思う」

  長崎大4年の永尾知美さんは、1910年の日韓併合を卒業論文の手がかりにすることを決めた。両国の交流を深めるには、相手を知ることが大切だと気づいたからだ。「来年、平和交流事業に参加する人は、少しでも両国の関係を学んでから臨んでほしい」と訴えた。

(11/2)

http://mytown.asahi.com/nagasaki/news01.asp?kiji=4289