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2004年10月22日(金) 02時08分

10月22日付・読売社説(2)読売新聞

 [野菜産地偽装]「第三セクターのあり方を見直せ」

 全国の地方自治体が抱える第三セクターの経営破たんや赤字経営が相次いでいるが、これは経営問題以前の、企業倫理にかかわることではないか。

 大阪市の三セクである「大阪港埠頭ターミナル社」が輸入野菜の産地を偽装していたとして、大阪府警が同社と荷主の関係者ら計六人を不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で逮捕した。

 ターミナル社は、大阪港に輸入される野菜や穀物の荷役・保管業務を行っているが、二〇〇一年十二月にトンガ産カボチャ十五トンをメキシコ産の箱に詰め替えて出荷したというのが直接の容疑だ。

 このほかにも、米国産ブロッコリーに中国産を混入し、また南米産バナナの入荷日を偽装していた。不正が常態化していたわけで、極めて悪質だ。

 同社は大阪市が50%以上を出資する三セクであり、それだけ公共性の高い企業だ。にもかかわらず、食品への信頼を裏切った。社員に法令順守意識が欠け、社内でのチェック体制もなかった。

 “親会社”の大阪市は、今年七月に至るまで、不正を把握できなかった。いったい何をしていたのか。毎年事業報告を受け、指導に当たっていたはずだ。

 同市OBが歴代社長や役員を務めてきている。天下り先だから監督が甘くなるという、典型的なケースではないか。

 関係機関のチェック体制も、早急に見直す必要がある。農水省の近畿農政局は昨年八月に偽装を告発する情報を受けていながら、放置していた。

 ターミナル社は昨年度に約2000万円の赤字を出した。大阪市では主要三セク三社が債務超過に陥り、金融機関と1600億円を超える支援をしている。

 同市の調査委員会は、三社に関する報告書で、バブル崩壊後も甘い見通しのもとで「事業計画や財務構造を軌道修正せず、経営悪化に歯止めをかけられなかった」と、無責任体制を批判した。

 背景には、三セクに出資した「官」と「民」のもたれ合いがある。役割と責任の分担が不明確になっていた。それが経営悪化にも、企業倫理の喪失にもつながっているのだろう。

 大阪だけに限ったことではない。

 バブル期以降、全国で雨後のタケノコのように設立された三セクは現在、約八千四百にのぼる。しかし、二〇〇二年だけで六十八法人が解散や倒産に追い込まれた。二年前の二・四倍にのぼる。

 さらに二千五百法人が赤字に陥っており、債務残高は10兆円を超える。

 行政目的を達成するのに三セクが不可欠なのかどうか。廃止や民営化を含め大胆な対応が地方自治体に求められる。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041021ig91.htm