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2004年10月22日(金) 00時00分

04米大統領選 ネットに広がる簡易HP 候補者情報メディアしのぐ 東京新聞

 ゴール直前。十一月二日の投票日まで二週間を切った米大統領選で、米インターネット社会に広がる簡易ホームページ「ブログ」の存在が、勝敗の行方を揺さぶっている。ブログが発信源となって、大手メディアも拾い切れない雑多な候補者情報が瞬時にネット上を駆けめぐる。それが有権者の政治参加を促し、当日の投票行動をも左右しかねない変革が起きつつある。 (ワシントン・豊田洋一)

■影響力

 「ブログ」とは、ウェブログ(インターネットの記録)の略語。情報発信が簡単にできることから、米国では個人が運用するニュースサイトとして多用されている。

 最もアクセス数が多い政治サイト「Daily Kos」は、一日当たり三十六万八千件近くのアクセスがあり、地方の有力紙をしのぐ“読者”がいる。米フロリダ州マイアミ大のマイケル・フルームキン法学部教授は「ジャーナリストがブログから引用するなど、主流のジャーナリズムに影響を与えている」と指摘する。

 九月三十日の第一回テレビ討論会で、ブッシュ大統領の背中に長方形の「膨らみ」を発見。無線受信機を通して陣営参謀からの助言をひそかに受けていたのではないか−。米紙ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズは十月九日付で、こんなうわさが流れていると報じたが、これはブログでの指摘が情報源だった。

 米テレビ三大ネットの一つ、CBSは九月上旬、ブッシュ大統領の州兵当時の上官が一九七三年に「ブッシュ氏の成績評価を甘くするよう上層部から指示された」と記したタイプライター打ちのメモを紹介した。

 しかし、放送直後からタイプライターの活字をめぐり「当時は存在しなかった字体」とする指摘がブログに掲載され、ブログ上でメモの信ぴょう性をめぐる論争に発展。結局、CBSはメモが偽物だったことを認め、看板キャスター、ダン・ラザー氏が「判断を誤った」と、謝罪する事態に追い込まれた。

 ブログは前回二〇〇〇年の大統領選時、ほとんど影響力を持っていなかった。それが今回、七月のボストンでの民主党大会で、ブログに情報を提供している「ブロガー」にも記者証と専用の記者席が与えられるなど、無視できない存在になってきた。

■落とし穴

 しかし、落とし穴がないわけではない。

 「うその情報が、影響力のあるブログに転載されて、多くの人がそれを信じてしまう事態があり得る。匿名で攻撃的表現が多く掲載されれば、それを容認する社会的雰囲気が生まれる懸念もある」

 フルームキン教授は警告する。

 個人が運用するブログは、既成メディアのように編集者ら複数の目によるチェックを受けない。虚偽情報や中傷的表現であっても、そのまま発信されてしまう。

 ただ、ブログには、アクセスした読者が意見や感想を書き込める「双方向」機能がある。もし、虚偽情報や中傷的表現が掲載されても、多くの読者によって正すことができる、というのがブロガー側の言い分だ。

 論争を膨らませながらも、ブログがこれほどまでに普及し、影響力を持った背景には、ソフトウエアの改良など、インターネット技術の進化がある。ブログの変革は、米有権者の政治参加の形を大きく変えたが、この新たな“情報戦”が実際の大統領選の投票にどんな影響を及ぼすか。全米が注目している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20041022/mng_____kakushin000.shtml