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2004年10月21日(木) 00時00分

ヤフーBBの勧誘トラブル多発  東京新聞

 通信大手のソフトバンクグループが運営するインターネット接続サービス「ヤフーBB」のADSL(非対称デジタル加入者線)勧誘に絡むトラブルを9月9日の生活面で報道したところ、読者から「同じような経験をした」という声が多く寄せられた。電話勧誘でのトラブルが多く、契約が成立したかどうかについて、消費者とヤフー側に意識のずれがあることがトラブルの一因となっている。 (稲田 雅文)

◇読者の声

 ■事例1

 二月ごろ電話勧誘を受け「二カ月間無料」と説明された。インターネットの仕組みを利用した電話「BBフォン」を試しに使ってみようと思い、モデム(接続装置)を送ってもらうことにした。契約書に署名、押印していないので、契約したという認識はなく、無料期間の間に契約するかどうか判断しようと思っていた。すぐモデムが届いたが、設定に手間がかかりそうだったため、箱に入れたまま保管してあった。すると突然、二カ月分の利用料として約六千七百円の請求が来た。解約し、仕方なくコンビニで払った。=男性(40)

 ■事例2

 今年二月に何度か電話勧誘があり、そのたびに必要ないと断っていた。しかし、たまたま帰省していた長男が電話を取ったところ、「モデムを送った」と一方的に言われた。数日後に宅配便でモデムが届き、すぐ送り返したが、その後、二カ月分の利用料約八千七百円の請求書が届いた。

 請求書に書いてあった番号に電話すると「解約の手続きをしないと、今後も料金が加算される」と言われ、電話で解約した。さらに一カ月分が加算された約一万二千八百円の請求が来たが、納得できないので払っていない。=主婦(47)

 ■事例3

 未成年の長男が二月、家電量販店でアルバイトをしている友人に「ノルマがあるので、名前を書いてほしい。二カ月無料キャンペーンだから、契約しても解約すれば大丈夫」と頼まれ、断り切れずに名前を書いた。モデムが届いたが、開封しなければ契約は成立しないと考え、その場で返却した。五月に約三千百円の請求書が届いた。長男が確認すると、勧誘した友人は「モデムを返したのだから解約になってるはず」と言った。

 ところが、七月に再び請求書が届いた。カスタマーサポートセンターに問い合わせると「モデムの返却だけでは解約にならない。早く解約した方がよい」と言われたのでその場で解約。

 仕方なく四カ月分約一万千八百円を入金した。=主婦(40)

 事例1の男性は電話勧誘を受けた際、その時点で契約が成立したという認識がなく、接続装置は使わなかったが、二カ月分の利用料金が発生してしまった。

 ヤフーBB事業を運営する会社「ソフトバンクBB」の広報室は、消費者が電話でサービス利用の承諾を表明すると、その時点で契約が成立したことになると説明する。法的にも、契約書への署名や押印がなくても口約束で契約は成立した、という扱いになる。

 男性は「無料期間の終わりにもう一度、契約するかどうかの確認があると思っていた。きちんとした契約書を交わしてからお金を取るべきだ」と訴える。

   ■  □  

 事例2は、そもそも消費者が承諾した覚えがないというケース。

 広報室によると、同社の電話勧誘は、すべて外部の代理店に委託している。顧客対応でのトラブルを防ぐため、ガイドラインを作成。電話勧誘で話す内容はすべてマニュアルで徹底している。

 広報室の担当者は「契約時のトラブルで多いのは、ほかの家族が契約していたのを、契約してないと勘違いしたようなケース。しかし、中には説明が不十分なケースもある」とする。これを防ぐため、勧誘が成功したら、同じ代理店の別の担当者が直後に電話して意思を確認。さらに後日、別の代理店がもう一度、電話で意思の確認をする二重のチェックをしている。「確認の書類の郵送もしており、確認の手続きは他社より多くしている」と担当者は説明する。

 事例2の主婦のケースも、正規の確認手続きがされていたという。しかし、この主婦は「確認の電話も受けたことはない。同居していない長男が勝手に承諾することもあり得ない」と話しており、両者の主張は食い違ったままだ。

   ■  □  

 事例3はノルマを理由に勧誘された。広報室によると、街頭や店頭での勧誘には複数の販売代理店を使っており、契約を獲得した数に応じて販売奨励金を払う。このため「代理店によってはノルマを設けているところもあり得る」とする。

 この主婦は、顧客の対応窓口である「カスタマーサポートセンター」に電話し、長男が未成年だったことなども挙げ「契約は無効。支払いは拒否する」と主張した。しかし、同センターも外部委託の業者で、料金請求も外部業者で対応していたため、具体的な交渉はできなかったという。

 本社と直接交渉しようと思ったが、センターは連絡先を教えてくれなかった。主婦は「本社に直接アクセスする手段がないのは困る」と話す。

 顧客対応に外部業者を使うため、責任の所在が分かりにくくなっているのも同社のトラブルの特徴だ。広報室では「サービスを始めた当初、対応が追いつかない時期もあったため、サポートの質は重視している。さらに質が上がるよう努力したい」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20041021/ftu_____kur_____001.shtml