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2004年10月20日(水) 03時05分

殺虫剤「中毒の危険」…呼吸摂取、許容の85倍に読売新聞

 市販の殺虫剤のうち、有機リン系の劇物「ジクロルボス」を含む製品について、東京都が呼吸による摂取量を調べたところ、使用法によっては、世界保健機関(WHO)の示す1日許容量の数倍から85倍に上る危険があることが分かった。

 都は今月に入り、「子供などへの影響は大きく、中毒を起こす危険性もある。早急に使用法を見直すべきだ」として、医薬品として承認をした厚生労働省に対し、安全対策を講じるよう緊急要望を行った。

 ジクロルボスは、ゴキブリ、ハエなどを退治する殺虫剤として普及しているほか、害虫駆除の農薬にも使われている。毒性が強いため、吸い込むと神経障害を起こす恐れがあり、発がん性も指摘されている。

 殺虫剤には、天井からつり下げたり、壁につけたりする家庭用と、倉庫などでファンを使って拡散させる業務用の2種類がある。国内では製薬会社など5社が販売しており、昨年9月までの1年間に計約585万個が売れた。

 都は、室内で使った場合の濃度について、6畳程度の部屋で実験。つり下げ型については21日間の濃度を、ファン付きは初日に8時間の噴霧後、13日間の室内濃度を測定した。その結果、つり下げ型では、子供の場合はすべての日で摂取量が許容量の28—10倍、大人も13—3・4倍になった。

 また、ファン付きは、初日に限ると、子供で85倍、大人も38倍となった。許容量を下回ったのは、子供は噴霧から7日後、大人では5日後だった。

 つり下げ型は薬局などで売られ、飲食店の調理室などのほか、一般家庭の台所で使われるケースもある。ホームページなどでは、一般の購入を断っている製品もあるが、ジクロルボスの危険性については触れられていない。

 厚生労働省は、ジクロルボスの入った殺虫剤を1958年に初めて医薬品として承認した。しかし、承認基準は「対象生物に効果があるかどうか」で、人への危険性を使用法に記載する必要はない。人体への影響を調べる実証試験なども行われなかったという。

 都は同省に「人間へのリスク評価を行い、使用法を見直すべき」と要望。同省では「使用法の表示などに問題があれば対策を検討したい」としている。

 ジクロルボスを巡っては、2000年に北海道の特別養護老人ホームで使用後、入所者など45人が食欲減退、発熱などを訴え、9人が入院したが、原因特定には至らなかった。英政府は2002年、長期間さらされると発がんの危険性が高まる可能性があるとして、一時的に販売や流通を禁止している。

 都は「製品によっては、2、3か月の効果をうたっているものもあり、長く使うと、抑うつ、食欲不振などの症状が出る恐れもある。早急な対応が必要」としている。
(読売新聞) - 10月20日3時5分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041020-00000001-yom-soci