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2004年10月15日(金) 01時29分

10月15日付・読売社説(2)読売新聞

 [ネット心中]「連鎖反応的な行動をどう断つか」

 暗然とさせられる、深刻な社会現象である。

 埼玉県皆野町で、二十代と三十代の男女七人がワゴン車の中で集団自殺した。同じ日に、神奈川県横須賀市では二十代の女性二人が乗用車の中で自殺しているのが見つかった。皆野町では先月にも、四人の男女が集団自殺している。

 いずれも、見ず知らずの仲で、インターネットの自殺関連サイトで初めて知り合った。ネット自殺は、昨年の前半に集中的に起きたが、連鎖反応のような動きが再び起こっているのだろうか。

 だれ一人として、死ぬことの意味をよく考え、踏みとどまる勇気がなかったことが、残念でならない。

 ネット自殺でも、七人もの若者が一緒に命を絶つというのは、例がない。住所も東京都や大阪府、埼玉、佐賀の両県など全国に散らばっている。

 高校卒業後、仕事がなくて悩んでいたという無職の男性と女性、大学受験に二年続けて失敗した男性など、それぞれ事情があるようだ。

 このような苦境や挫折は珍しいことではないが、自力で解決することが難しい場合もある。家族や友人、学校時代の教師など、しかったり、悩み事の相談に乗ってくれたり、励ましたりしてくれるような人は、いなかったのだろうか。

 過去のケースでも、集団自殺した人には、「世の中が嫌になった」「生きるのがつらい」「一人ぼっちで寂しい」などと漏らしていた人が多かった。

 若い世代ほど、対面でコミュニケーションを取るのが苦手で、ネットの世界でしか自分の意思を示せないようになってきている、とも言われている。

 学校にも行かず、仕事にも就かず、求職活動もしない、「無業者」とも「ニート」とも呼ばれる若者が増えているという。集団自殺が多発する現象と、何か関連があるのだろうか。

 厚生労働省が昨年、このような若者に仕事を探そうとしない理由を聞いたところ、「会社生活をうまくやっていく自信がない」「自分の能力・適性が分からない」「求職活動の仕方が分からない」という回答が多かった。

 学校を卒業した後、社会の中で自分の居場所を見つけられないでいる若者が多い。雇用対策と並行して、このような若者をどう自立させていくか。その方策も検討する必要がある。

 集団自殺に限らず、若者の自殺は増加傾向にある。プライバシーの問題などもあるが、効果的な防止策を考えるためには、その動機や背景などを詳細に解明することも重要ではないだろうか。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041014ig91.htm