悪のニュース記事

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2004年10月13日(水) 00時00分

なぜ死に急いだのか 横須賀の女性2人ネット自殺 東京新聞

 「死にたい。生きるのがつらい」−。十二日早朝、横須賀市内の細い山道を登り切った寺の前で、レンタカー車内の七輪に練炭をたき、二人の女性が命を絶った。そのうちの一人の同市内の主婦(27)は夫にそう苦しみを訴え、自殺未遂も繰り返した。もう一人の東京都世田谷区の無職女性(21)は一週間前にも、同じ手口の集団自殺を図ったばかり。インターネットで知り合ったとみられる二人はなぜ、何度も自殺を図り、それほどまでに死を急いだのか。 (斎藤裕仁 中沢佳子 石川智規)

■書き置き

 二人は発見されたとき、眠っているような様子で後部座席に横たわっていた。車内には二人の連名による書き置きが残されていたが、その文面は丸文字で二人で旅行にでも出掛けるような軽いノリさえうかがえた。「けいさつ&お親のみなさま これは2人で望んで計画しました。事件ではありません。ご迷わくをかけ、すみません。よろしくお願いします」

■普通の主婦

 横須賀市中心部の公団住宅街。林立する新しいマンション群の一室で、主婦(27)は夫と二人暮らしだった。結婚して約一年半。だが、妻は数カ月前からパソコンで自殺サイトを頻繁に見るように。いつしか「死にたい」と口にし、手首を切りつけることも何度かあった。

 「実家へ行きます」。出張中の夫の携帯電話に、妻からメールが届いたのは十一日午後一時ごろ。同日夜に帰宅した時には、すでに妻の姿はなかった。「帰ったよ」。妻の携帯電話へメールしても、返事はなかった。

 同じマンションに住む女性は「一、二度あいさつした程度でしたが、ごく普通の人。思い詰めることでもあったんでしょうか」とうつむいた。

■明るく華やか

 無職女性(21)は高校卒業後に故郷の群馬を出て、居酒屋でアルバイトをしながら世田谷区のマンションに友人と住んだ。実家には年数回帰り、母親も時々訪問。八月、誕生日間近だった弟が訪ねると「臨時収入があったから、お祝いしてあげる」と財布を贈った。友人と出掛ける話もし、楽しそうだったという。

 だが、女性は今月五日、東京都奥多摩町の河原で、ネットで知り合った女性三人と練炭自殺を図った。一人が知人に予告をしており、通報で駆けつけた警察官が発見、未遂に終わった。雨でずぶぬれで、それぞれ身内や知人に引き取られた。女性にも四十歳代の知人男性が迎えに来たという。

 隣近所の顔も知らないような都会のマンション。だが、女性は管理人の男性(59)に手作りの菓子を差し入れる、人なつっこい性格だった。管理人は「友達とよく出掛けていた。明るく、華やかな感じでね。いつもきちんとお化粧していた」と振り返る。「最近、化粧せず表へ出ていたので、ちょっと気になっていた。それでも自殺するようには見えなかったのに…」

■最後の目撃

 「小さめの車を、お願いします」。横須賀市内のレンタカー店へ無職女性から車を借りる電話予約が入ったのは十日午前。翌十一日午後二時半ごろ、女性は主婦とみられる女性と二人で訪れた。ズボンとジャケット姿に、小さなボストンバッグが一つ。「市内を車で回りたい」と男性店員に話し、十二日夕までの予定で車を借りた。料金はきちんと折半で払った。

 「ふさぎ込むような様子はまったくなかった」と店員は話す。「内容は分かりませんが、待ち時間に雑談していて仲も良さそうでしたが…」。それが、二人の最後の目撃情報だった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20041013/lcl_____kgw_____000.shtml