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2004年10月10日(日) 00時00分

総務省、情報家電からの徴収照準 『増税』とメーカー反発 東京新聞

 電波利用料−。代表的なのが携帯電話一台に付き毎年五百四十円、国が徴収している手数料だ。総務省はこのほど新たに、次世代型のテレビやパソコンなどの情報家電にもこの料金を課す方針を打ち出した。だが、情報家電は新産業の柱と期待される分野で、メーカー側は「事実上の増税」と猛反発している。“電波税”をめぐる攻防を追った。 (経済部・市川千晴)

■不公平■

 制度見直しのきっかけは、利用料負担の偏りと深刻化する周波数帯不足だった。利用収入総額は一九九三年度の制度導入時に七十四億円。だが昨年度は、約七倍の五百四十三億円に上った。収入を押し上げたのは急速な携帯電話の普及で、昨年度の携帯電話事業者の負担は全体の82%に達する。このためNTTドコモなど携帯事業者から「不公平だ」との不満が噴出した。

 負担の是非とともに総務省の電波有効利用政策研究会が示したのは、徴収対象を情報家電に拡大する案だった。その内容には利用料総額の増額分を周波数帯不足解消のための研究開発費などにあてる狙いも込められた。

 この案には反対論が相次いだ。当初は既存の無線LAN(構内情報通信網)や高速道路の自動料金収受システム(ETC)も徴収対象に含まれていたが、業界の反発で断念した。結局、九月二十四日の研究会最終日までに徴収対象をめぐる具体案はまとまらず、総務省に判断を委ねる形となった。パソコンに取り込んだ映画などを無線で受信できる次世代型テレビなど情報家電も対象とすることを前提に、来年の通常国会に電波法改正案を提出する方向で動きだした。

 研究会座長の多賀谷一照・千葉大学学長補佐は「負担の公平化を図る。ただ、新規産業という観点から配慮もする」と、負担額に差をつける考えをにじませた。

■負担増■

 だが、新たな徴収対象となる流れが固まったことに、家電メーカーなどで構成する電子情報技術産業協会は「利用料を取られると、商品に価格を上乗せし消費者に負担を求めざるを得ない。欧米では徴収対象でないから、日本の製品開発が遅れ国際競争力が低下する」と猛反発する。

 利用料の使途が広がった点にも異論が出ている。総務省によると、利用料の使い道は当初、違法電波監視とそのシステム構築と運用だけだった。しかし、九六年からは技術試験事務費、九九年は電波の安全性対策費と拡大。二〇〇一年からは地上波テレビのデジタル放送化に伴い、既存アナログ波を別の周波数に変更する「アナアナ変換」にも支出された。本年度は電波利用料総額の三割を占める約二百億円が「アナアナ変換」に充てられる予定だ。

 同省電波政策課は「携帯電話対策は地方自治体が鉄塔などを建てる際に補助金を出す程度。研究費も、新たな電波資源を開発する目的では支出しなかった」と説明する。

■警戒感■

 こうした実情に、日本経済団体連合会も「情報家電の定義があいまい。徴収や支出の対象がとめどなく広がる」と警戒感を示した。

 研究会電波利用料部会委員の鬼木甫・大阪学院大学教授は「電波利用料は『携帯電話端末税』といったものだが、電波監理の費用として徴収しているのは矛盾がある。電車の切符代の一部から高速道路を建設しているようなものだ」と指摘。その上で鬼木教授は「新たな負担増が必要なのか、国会でも十分に議論すべきだ」と、政治の場で議論を尽くすことに期待を寄せている。

■メモ 電波利用料

 総務相の免許を得て無線局を開設したテレビ局や携帯電話事業者、衛星通信事業者から国が毎年徴収する手数料。安定した電波環境を維持するための行政経費に充てる目的で1993年4月に導入。原則的には無線局数で均等負担する。携帯電話端末の場合は年間540円などと決められている。各社が利用者に代わって国に納付。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20041010/mng_____kakushin000.shtml