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2004年10月10日(日) 02時34分

10月10日付・読売社説(2)読売新聞

 [火災警報器]「全戸義務化へ山積する課題」

 火災警報器は、マンションや団地住まいの人には当たり前かもしれない。だが、一戸建て住宅で設置している例は、まだ少ないのではないだろうか。

 煙や熱を感知し、警報音で火災の発生を知らせる。消防法が改正されたことで、この警報器が近い将来、すべての個人住宅について設置が義務づけられることになった。

 新築住宅については、二〇〇六年六月の改正消防法の施行日から義務づけられる。既存の住宅については、地域の実情に応じて経過期間を置くことが認められ、義務づけの時期は、各自治体が条例で定めることになっている。

 これに先行して、東京都は独自に火災予防条例を改正し、今月から、新築住宅と改築する住宅について、早くも設置を義務づけた。

 個人住宅の防火や防犯の設備は本来、自己責任で行うべきことである。それをあえて義務化することについて、消防庁は、焼死者を減らし、出火に早く気づいて延焼の拡大を防ぐのに極めて有効なため、と説明している。

 全国の住宅火災による昨年の焼死者は千七十人で、統計を取り始めた一九八〇年以降で最悪となった。半数は六十五歳以上の高齢者で、逃げ遅れた人が多かった。高齢化が進むにつれて、さらに深刻化する可能性がある。

 火災警報器を備えれば、安心は増すだろう。既存住宅の義務化の時期について消防庁は、「遅くとも五年以内には実施するよう自治体に助言していく」としているが、その前に、設置しやすくするための環境整備が欠かせない。

 まず、警報器の価格の問題がある。現状では6000円から1万円以上もし、取り付け工事が必要な製品が多い。寝室だけでなく、階段や台所にもつけてこそ効果があるから、合計では数万円の負担になる。全戸に負担を強いる額としては、決して小さくない。

 もっと安価で、取り付けも簡単な製品を普及させることが重要だ。

 万一の時に機能しないということのないよう、定期点検も必要だが、それを高齢者世帯などに求めるのは難しい。外部機関が行うとしても、全戸にまで手が回るのか疑問だ。

 義務化されていない消火器の場合、高値で買わされたり、点検名目で高額の料金をだまし取られる被害が、続出している。このような悪徳商法が、消火器以上に横行する心配はないだろうか。

 施行まで一年半余。消防庁には、このような問題の解決に、責任を持って取り組んでもらいたい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041009ig91.htm