悪のニュース記事

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2004年10月09日(土) 00時00分

おれおれ詐欺 実に巧妙になっている 東京新聞

 「おれおれ詐欺」の被害が拡大している。もはやひとごとではない。ますます巧妙化する実態を広く知らせることだ。犯行に使われるプリペイド式携帯電話や不正口座への対策も進める必要がある。

 こんなにだまされているとは−。今年一−八月の被害総額は百億円を突破し、昨年一年間の約四十三億円の倍以上となった。八月だけで二十億円を超え、増え続けている。

 手口は実に巧妙だ。お年寄り相手に単独で「おれおれ」と電話する古典的なやり方だけではない。

 息子や孫が交通事故に遭ったなどと電話して、ニセの警察官や弁護士など複数の人物が次々に登場する。パトカーや救急車などの音も入る。手の込んだ劇団型シナリオに乗せられ、金を振り込んでしまう。

 被害者は突然、身内の事故を知らされてパニックに陥る−こうした心理状態につけ込んだやり方だ。

 最近はお年寄りだけでなく、四、五十代の女性の被害も多い。主婦らも気を付けた方がいい。

 まず冷静になって一呼吸置くことだ。警察官が交通事故の治療費や車の修理代などの仲介をすることはない。警察では、まず本人や警察に確認するように呼びかけている。

 警視庁は九月におれおれ詐欺の集中取締本部を設置し、犯行を再現したカセットテープをつくって地域の集まりなどで流している。

 警視庁本富士署は高齢者向け防犯講座でおれおれ詐欺の寸劇を披露している。劇を見た七十代の男性は、自宅へかかった電話に、劇を思い出して「うちの名字を言ってみろ」と対応して撃退した。

 各地の警察は、自治体とも連携して地域住民におれおれ詐欺の防犯広報を進め、効果を挙げてほしい。

 詐欺の道具に使われるプリペイド(料金前払い)式携帯電話は、架空名義で登録されるなど、実際の使用者が分からないケースが大半だ。KDDIなどは今年八月に顧客情報の登録がなければ電話を開通させないシステムを導入したが、他の業者も犯罪防止のために早急に検討を進めるよう要望する。

 詐欺の温床となる不正口座は、インターネットで売買されている。大手の検索サイト運営会社ヤフー・ジャパンが七月から、不正口座売買のサイトについて検索結果を表示しない措置を講じた。個人がネットの掲示板で口座売買をする場合は対象外だが、掲示板の管理者も表示停止を検討すべきだろう。

 おれおれ詐欺は、いたちごっこのように続く。社会全体で監視の目を厳しくする取り組みが必要だ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20041009/col_____sha_____002.shtml