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2004年10月07日(木) 21時54分

迷惑メールを減らせ - 総務省が研究会MYCOM PC WEB

増え続ける迷惑メールの被害を食い止めるため、総務省は有識者を集めた「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」を設置、7日、第1回会合を開催した。冒頭、総務省総合通信基盤局の有富寛一郎局長が「(迷惑メールの被害により)Eメールが本来のメディアでなくなる」と危機感を表明、今回の活動で迷惑メールの被害に歯止めがかかることへの期待を述べた。

同名の研究会は、2001年にも設置されており、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)成立を前に取りまとめを行った。今回、来年に控えた同法の見直しを前に、現状の問題点とその解決策を提示するのが目的だ。今年度末には最終の取りまとめを行う予定。研究会は、ISPや携帯電話キャリア、学者、弁護士などから構成される。

第1回会合では、座長として明治大学の新美育文法学部教授が選出、一橋大学の松本恒雄法学研究科教授が座長代理に指名されたほか、総務省側から現状報告などが行われた。

現在、迷惑メールは増加の一途をたどっている。総務省の特定電子メール法、経済産業省らの「特定商取引に関する法律」(特定商取引法)によって大量送信される広告宣伝メールには一定のルールが設けられており、件名に「未承諾広告※」と表記する、受信者から受信拒否されたら、次からはメールを送信してはいけない(オプトアウト)、連絡先を明記する、などといった制限が課せられている。特定電子メール法の場合、違反した送信者は総務省が警告、それにも従わない場合は最終的に措置命令が出される。命令にも従わなかった場合、最高50万円の罰金が科せられる。

しかし、2002年7月の特定電子メール法施行後2年あまりがたち、措置命令はわずか3件。罰金刑は1件もない。これについて総務省側は迷惑メール送信者(スパマー)が巧妙化しており、送信者を特定できないと指摘。その手法として、(1)ウイルスなどに感染させたPC(ゾンビPC)を踏み台として迷惑メールを送信する(2)オープンリレーサーバを使う(3)NTT東西のフレッツなどのような、回線とISPが分離したサービスを利用して、1つのISPからアカウントを停止されても、すぐに次のISPに乗り換える(4)海外のサーバを経由する--などといった迷惑メール送信の手法を報告して、スパマー追跡の難しさを訴えた。総務省の総合通信基盤局電気通信事業部 奥英彦・消費者行政課長は、「誰が(迷惑メールを)送信しているか分かる技術の確立が必要」と話し、現在検討が進められている送信者認証技術などへの期待をにじませた。

また総務省側は米国・英国・韓国・オーストラリアの迷惑メール対策についても触れた。報告によれば、米国と韓国はPC宛のメールではオプトアウト方式、携帯電話向けでは明確な送信許諾がなければ広告宣伝メールを送信できないオプトイン方式を、英国とオーストラリアでは全体でオプトイン方式を採用しており、さらに米韓では懲役・禁固刑も用意されている。

その上で総務省は、迷惑メールへの対策については法執行、事業者による自主規制、技術的解決策、利用者啓発、国際協調のいずれも必要としており、特定電子メール法の対象に携帯電話のショートメッセージを含む、直罰の導入、オプトインの採用、ISPの連携、送信者認証技術の確立・普及などといった論点を提示。

これに対して構成員からはオプトインや直罰に関して意見が出された。オプトインについては、英国のオプトインがそれほど効果を上げていない、という米連邦取引委員会(FTC)の報告も引用されるなど、それだけでは対策にならない点が確認された。

直罰に関しては「スパマーが割に合わないと考えるようにする必要がある」という意見が出たほか、「直罰も効果的」(岡村久道弁護士)といった意見に反対論は出ず、罰則強化の方向性をうかがわせた。

また、ISPを渡り歩くようなスパマーに対して、ISPがスパマーの個人情報を共有して入会を拒否するような方策についてもニフティやIIJらから意見が出され、個人情報保護・通信の秘密との整合性については、「世間のコンセンサスができてきている」(岡村弁護士)としてスパマーの情報をISP間で共有する仕組みについて、今回は異論が出なかった。

岡村弁護士は「特定の人がいろいろなこと(迷惑メールの送信など)をやっている」と発言、個人名の公表を含めた公表制度の導入を提言。日本インターネットプロバイダー協会の野口尚志理事は「(ISPでも)身元がきちんと確認されておらず、不明なものがある」として、身元をきちんとチェックして、さらにISPを渡り歩くスパマーの個人情報をISPが共有、ISPへの加入自体を拒否していく方策を示した。

研究会は2005年3月末まで開催、来年の通常国会における特定電子メール法見直しまでに報告を取りまとめる予定だ。

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http://pcweb.mycom.co.jp/news/2004/09/21/006.html

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メールの63%がスパム、背後にウイルス作者のカゲ
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2004/08/18/101.html

総務省、迷惑メール送信企業に対し措置命令
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2004/04/16/010.html

総務省
http://www.soumu.go.jp/

(MYCOM PC WEB) - 10月7日21時54分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041008-00000094-myc-sci