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2004年10月05日(火) 14時53分

におい測定の国際規格、「鼻だけ」日本式ピンチ読売新聞

 においの測定方法として、多くの国内企業が使う「日本方式」がピンチに陥っている。

 3年後をめどに、「欧州方式」が国際標準に採用されることが有力視されているためだ。日欧の測定方法の評価に格差が生じると、空調機器や芳香剤などの分野で、日本製品が欧米製品との競争に後れを取る恐れも指摘されている。日本方式を発明した東京都環境科学研究所が海外へのアピール作戦を開始し、国も対策に乗り出すなど、「におい市場」の“主導権”を巡り、日欧のつばぜり合いが活発になっている。

 日本方式は、3つの袋の1つににおいのある空気を入れ、人間の鼻でにおいの有無を比較する。「3点比較式臭袋(においぶくろ)法」と呼ばれ、同研究所が30年前に考案して以降、エアコン、空気清浄機、芳香剤などの分野で品質管理に導入されてきた。測定は、国家資格である「臭気判定士」が、一般のパネリスト6人を選んでにおいをかいでもらい、臭気の強さを数値化する。

 一方の欧州方式は、機械がにおいのある空気と無臭の空気の2種類を吐き出し、人間がかいで比べる。主に欧米で古くから利用され、2年前には欧州連合(EU)内で公式な測定方法に指定され、2007年ごろには、国際標準化機構(ISO)が定めている世界共通の標準規格に採用される公算が大きくなっている。

 どちらの方式も、最後は人間の嗅覚(きゅうかく)が決め手だが、欧州方式は途中で機械が介在する。どちらが優れているか、日本の複数の研究機関が実験した結果、「精度はほぼ同レベル」と判定された。

 だが、欧米の評価は日本方式に厳しい。今年4月、アメリカで開かれた臭気学会で同研究所の研究員が講演したところ、欧米の研究者から「機械なしで正確に判定できるのか」などと厳しい質問が相次いだ。研究員は「文化の違いかもしれないが、欧米では人間より機械を信じる傾向があるようだ」とため息をつく。

 逆に、日本方式が定着している国内企業は、欧州方式に疑問符をつける。自動車工場や病院などに脱臭装置を納入している日本デオドール(東京・新宿区)の柿本元社長は、「日本方式の方が実用的。欧州方式は人件費などのコストが2倍、測定時間は3倍かかる」と語る。初期投資も、機械本体の購入に約600万円必要な欧州方式に比べ、日本方式は基本的にビニール袋代のみと安価だ。

 日本方式は中国や韓国でも普及している。環境省大気生活環境室では、「国家的問題につながる可能性もある」と危機感を強め、「コストがかかる欧州方式は、中小企業や発展途上国では導入が難しい」とも指摘する。

 ISO規格への申請には5か国以上の同意が必要。このため、同省は今年度、1100万円の予算を付けた。各国のにおいの専門家を日本に招いて、日本方式をアピールするなど、“味方作り”に力を入れる。

 発明者の1人の岩崎好陽(よしはる)・同研究所参事は「日本方式の優位性には自信がある」としながらも、「海外への情報発信が不足したため、ローカルな研究と思われているようだ」と反省点も口にする。今後、研究論文を英訳して国際学会誌に発表するほか、海外の学会に研究員を派遣するなどアピールを強め、日欧同時のISO採用を目指す。

 ◆国際標準化機構(ISO)=ネジや写真フィルムなどの工業品から環境管理システムまで、昨年末の時点で1万4151件の国際規格が登録されている。大きさや形などの仕様を共通化することで、世界中で一定品質の製品を使うことができ、価格の低下や新製品の開発にもつながる。設立は1947年。スイスに本部があり、146か国が加盟している。
(読売新聞) - 10月5日14時53分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041005-00000206-yom-soci