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2004年09月30日(木) 00時00分

ヤマトVS郵政 肥大化の恐れはある 東京新聞

 日本郵政公社の郵便小包の業務拡大をめぐる争いが、法廷に持ち込まれた。民営化を前に郵政公社の駆け込み的な肥大化は困るが、「民業圧迫」についての司法の判断を注目したい。

 宅配便最大手のヤマト運輸が、郵政公社の郵便小包「ゆうパック」の業務拡大に対して、独占禁止法で禁じられた「不公正な取引方法」に当たるとして、東京地裁に訴えを起こした。

 これは、同公社が十一月中旬から大手コンビニチェーン、ローソンの全店舗でゆうパックを取り扱うことが原因だ。ヤマトはローソンと独占契約していたが、ゆうパックの参入をきっかけに、ローソンでの取り扱いをやめることになっている。

 問題になっているのは、ゆうパックの料金がヤマトの宅配便よりも安く設定されていることだ。

 ヤマトの主張では、公社は法人税の免除など税制面で優遇措置を受けており、民間事業者とは公正な競争ができないという。また、手紙・はがきなどで得た独占利益で、ゆうパックに補填(ほてん)するとみている。

 このため同社は、公社がローソンとの契約を撤回し、民間宅配業者の料金より安く、ゆうパックのサービスを提供しないよう求めている。

 これに対し、公社側は「公正な料金改定に努めており、独禁法に抵触するような行為を行っているとは考えていない」と反論している。

 この問題ばかりではなく、公社の事業が「民業圧迫」に当たるかどうかは以前から論議が戦わされてきたものの、明確な結論は出ていない。

 ヤマトの主張のうち、公社が税制面で優遇を受けているのは事実であり、公社も否定できないだろう。

 しかし、公社が全国一律にサービスを提供するために、山村や離島など民間事業者なら出店しないような立地でも、郵便局を展開していることも確かである。今回の裁判をきっかけに、こうした「見えないコスト」を司法がどう判断するのか、知りたいところだ。

 また、宅配便市場に関しては、ヤマトの方が圧倒的にシェアは大きいのである。

 とはいえ、公社がコンビニとの提携など新たな分野に打って出ることは、「肥大化」につながる恐れもある。郵政事業民営化論議が紛糾している最中だけに、余計に関係者を刺激しかねない。もう少し、慎重であるべきだった。

 司法の判断が確定すれば、同一の競争条件の下で、公社とヤマト、他の事業者はサービス、料金面で堂々と競い合ってほしい。そして、郵政民営化につなげるべきだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040930/col_____sha_____003.shtml