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2004年09月29日(水) 20時12分

<郵便小包>商品内容全面見直し 「民業圧迫」批判も毎日新聞

 日本郵政公社が29日発表した郵便小包「ゆうパック」の商品内容の全面見直しは、民間宅配便と同様の料金体系を採用し民間並みのサービスをそろえたことによって、割安感を大きくアピールするものになった。民営化を控えてシェア拡大に動く公社に対し、顧客を奪われることを警戒するヤマト運輸は「民業圧迫」批判をいっそう強めている。【位川一郎、松田真、常陸佐矢佳】
 ゆうパックの料金はこれまでも、ヤマト運輸の宅急便など民間宅配便よりも1割程度安いと言われてきた。公社は料金体系変更の理由を「民間でサイズ制が浸透しており、利用者のニーズが高かった」と説明。全体として値下げではないことも表明している。しかし、サイズ制導入の結果、民間との料金の差は一目瞭然になった。
 サービス面でも、▽持ち込み割引▽ゴルフ、スキー、空港ゆうパック▽配達のスピードアップ——など民間がすでに行っているサービスで追随、「便利さ」を強調できる“品ぞろえ”を整えた。
 小包・宅配便市場のゆうパックのシェアは97年度まで9%台だったが、その後低下し03年度は6.0%に低迷している。公社は06年3月までにこれを10%まで上げることを目標に掲げており、今回の商品内容見直しを大きなバネにしたい考えだ。特にコンビニエンスストアに対しては、今回の見直しを機に取り扱い拡大の攻勢を強めるとみられる。サークルKサンクスは「顧客の利便性を考え、郵政公社とヤマトに併売を交渉」しており、ローソンと同様に宅急便からゆうパックへ取り扱いを変える可能性もある。
 一方、ヤマト運輸は29日、ゆうパックリニューアルに反発する見解を発表した。ゴルフやスキー用具を取り扱うことに、「公社という立場にありながら、民間の後追いまでして始めるサービスなのか疑問」と表明し、公社による「民業圧迫」を厳しく批判した。
 公社が宅配便よりも安い価格を設定したことにも、「納税義務の免除など、さまざまな優遇措置を受けたことで実現できた低価格」として、「民間企業と同一条件になった場合、発表された価格を維持できるのか」と疑問を投げかけた。そのうえで、不公正取引差し止めを求める東京地裁に訴訟を起こしたことに改めて言及し「公平・公正な競争を求める」と表明している。
 しかし、ヤマト以外の宅配便事業者の反応は鈍い。業界2位の佐川急便は「ゆうパックの商品内容見直しを受け、消費者に選んでいただけるようにサービスの拡充を図っていく」とするコメントを発表。公社と業務提携関係にある日本通運は「公社が発表した内容を確認したばかりで、外部に見解を示せる段階ではない」(広報部)と、反応を示すことを避けた。
   ◇
 日本郵政公社の生田正治総裁は29日、ゆうパックの商品見直しの発表会見で、ヤマト運輸が28日に公社を提訴したことについて「大変当惑している」と述べた。そのうえで、ヤマトの「不公正取引」「民業圧迫」との指摘に対し、「小包のシェアは6%。放置すると階段を下り続け、2、3年たつとなくなってしまう。何とか踏みとどまらせてほしいということ。爆発的に伸びるわけでも何でもない」と反論した。
 民間より割安になるな新料金体系については、「適正利潤をいただくベースで計算している」と述べ、赤字覚悟の不当廉売ではないと強調し、「(1892年の小包開始以来)112年で一番大きな変化」と期待感を表明した。【位川一郎】
(毎日新聞) - 9月29日20時12分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040929-00000104-mai-bus_all