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2004年09月25日(土) 00時00分

「医療過誤」と報告 市立脳血管センター記者会見で謝罪する山本センター長(右)と中川秀夫・センター管理部長(中央)ら=横浜市役所で朝日新聞・

  横浜市立脳血管医療センター(同市磯子区)に高血圧性脳内出血で入院した女性患者が内視鏡手術の直後に容体が悪化した問題で、センターが設置した外部調査委員会は24日、「総体的にみると医療過誤と言わざるを得ない」とする報告書をまとめた。執刀した医師らに内視鏡手術の経験がなく、手術をすべきかどうかの適切な議論もされていなかったと指摘した。センターは週明けにも、報告書を磯子署と磯子区の福祉保健センターに提出するという。

  調査委によると、昨年7月下旬、50代の女性患者に内視鏡手術を実施。終了直後に血腫の増大など異状が見られたため緊急に開頭手術をした。しかし、女性は快復せず、いまも高度の意識障害があるという。

  報告書によると、センターは手術をした昨年7月に内視鏡手術の器具を導入したばかりだった。執刀した医師らは内視鏡手術の経験がなく、訓練も不十分で、本来なら手術の是非などを決めるために開く会議も開かなかった。医師に経験がないことや内視鏡手術以外の選択肢があることを、家族に説明しなかったという。

  調査委は、内視鏡手術をしてもよい症例ではあったとしながらも「(経験がない)今回の術者と助手にとっては開頭の方がより確実に血腫除去と止血を行い得た。この手術のエキスパートと少なくとも何例か手術を共にするなど技術的な準備も不十分だった」と指摘した。

  また、センターで初めての内視鏡手術だったにもかかわらず、どんな場合が内視鏡手術に適当なのかを示す基準を明確にしておらず、センター内に設置している倫理委員会や毎朝の会議にも手術の是非が諮られなかったことを明らかにした。家族に対し手術の前後とも十分な説明がなかったことについては「患者の自己決定権に対する認識が希薄だった」と批判した。

  センターは手術翌日、「医療事故に該当しない」と判断。しかし、内部からの批判もあり、1年近くたって外部調査委を設置していた。

  記者会見した調査委の藤井清孝委員長(北里大学病院長)は「医師らは内視鏡手術の困難さを軽視していると感じた。新しい技術を採り入れる際に適性を判断する制度はあったが、機能していなかった」と述べた。

  会見に同席した山本正博センター長は「患者や家族、市民におわびしたい。報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め安全管理体制を抜本的に見直す」と謝罪。関係者の処分を今後検討するという。

(9/25)

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news01.asp?kiji=5955