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2004年09月25日(土) 18時33分

[あくせす香川]不正使用の電話番号、利用停止を 実施へは多くの課題 /香川毎日新聞

 ◇「架空請求」被害防止へ、県など国へ要望
 インターネットのアダルトサイト使用料や電子商取引の債権回収など身に覚えがない「架空請求」を巡る被害が全国で頻発している。県や県弁護士会などは8月4日、架空請求業者の連絡先などに不正使用される携帯・固定電話の利用停止や強制解約措置を電話事業者が取るような指導・勧告を求めて、総務省に意見申出書を提出した。利用停止などの措置は、業者と被請求者の連絡手段を遮断させられるため、被害を食い止める有効な一手と期待する声も多いが、「通信の秘密」を保障する憲法上の問題点を指摘する声もある。被害防止対策として切られた「新カード」の可能性を探った。【近藤大介】
 ◇通信の秘密や検閲の禁止、憲法に抵触する恐れ
 国民生活センター(東京都港区)などによると、全国の架空請求に関する相談は02年度から急増。02年度の相談件数は約7万5800件で、03年度には約46万5300件と約6・2倍に膨れ上がった。県内では、04年度は7月末現在で既に3693件と1万件を超えそうで、03年4月〜04年6月までの実被害総額は約2500万円と深刻だ。
 架空請求はがきには、以前は現金振込先の金融機関の口座番号が記載されていた。しかし、金融機関が口座閉鎖などの対策を講じ始めると、業者側はすぐ口座番号を削除。現在は電話連絡先だけを載せ、被請求者に電話させて振込先を指示する仕組みに切り替えている。
 また、はがきには「法務省認可請求書」「払わない場合は、指定裁判所へ出頭を求める」——など公的機関名や法律用語を記載することで、受け取り側を信用させ、連絡すれば振り込みを脅迫して何回も現金をだまし取るなど手口は悪質かつ巧妙化している。
 県などは、はがきに記載されている「090」や「03」などで始まる連絡先の電話番号に注目。監督官庁の総務省に、不正使用されている電話番号の利用停止や強制解約を電話事業者に指導・勧告するよう求めた。
 ただ、「不正利用」を認定する際、「通信の秘密」や「検閲の禁止」を規定する憲法21条に抵触しないかなど、多くの課題が残っている。
 現在、電気通信事業法121条では、電気通信の利用者に対する提供義務について、「正当な理由がなく、電気通信役務の提供を拒んではならない」と規定。県は「『正当な理由』の解釈は現在、『料金の支払い有無』が中心。そこに『犯罪行為としての使用有無』との解釈も含めてもらえれば、利用停止などは法改正なく実現可能」と解説する。
 県弁護士会消費者問題対策委員長の白井一郎弁護士は「はがきが送付された時点で明らかな違法行為。犯罪行為まで憲法が保障するとは思えない」と話す。
 一方、池端忠司・香川大教授(憲法)は疑問を呈する。「通信はユニバーサルサービスが原則で、事業者が内容をチェックしないとの前提に立っている。不正利用などの認定をどの機関が行い、それが検閲にはつながらないのかなど一筋縄でいくとは思えない」
 NTT東日本は「現時点では通信内容で利用停止や解約措置は取れない。法改正などなしに、一電話事業者で決められる話ではない」と話す。総務省消費者行政課は「要望を受け、省内で対策を検討中。ただ、はがき上の連絡先記載だけで通信利用停止などの措置は基本的に講じられないのではないか」と話している。
 いずれにしても、「このまま(架空請求の増加状況を前に)指をくわえたままだと業者側の思うつぼ」(県関係者)は確かで、早急に効果的な対策を確立することが望まれている。

9月25日朝刊 
(毎日新聞) - 9月25日18時33分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040925-00000306-mailo-l37