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2004年09月16日(木) 00時00分

和牛産地が“乱” BSE検査緩和 東京新聞

 国が牛海綿状脳症(BSE)検査から生後二十カ月以下の牛を除外する方向で慌ただしさを増しているのに反し、和牛の名産地をかかえる自治体では全頭検査を継続させる動きが広がってきた。国ににらまれるより、ブランド力を保つ方が大切という考え方で、状況次第でさらにこの動きが強まる可能性もある。 (山川剛史)

 地方の“反乱”の火付け役となったのは、高級和牛「飛騨牛」で知られる岐阜県。十日に「国の基準見直しで独自の費用負担が生まれても、安心確保のためには全頭検査を続ける」と発表したのを受け、全国から問い合わせが相次いだ。

 本紙が十五日、肉牛の産地や大消費地を対象に今後の対応を電話で聞いたところ、「全頭検査継続の方向で検討中」と答えたのは、岩手、三重両県と大阪府だ。

 岩手県は増田寛也知事から「安全だけでなく消費者の安心を醸成することも重要」との指示を受けて、県独自の検査態勢の検討に着手。「松阪牛」の三重県は、県内牛の月齢を調べたところ、食肉処理される生後二十カ月以下の若い牛は年間わずか百三十頭しかいないことが判明。県の負担でこの頭数を検査するとしても、生じる費用は年四十万−五十万円とはじき、県健康福祉部では「検査しない牛を除外するために食肉処理場が混乱することや、築いてきたブランドの大切さを考えれば、県民の理解が得られる額ではないか」と話した。

 また、食に対する目が厳しい大阪府では「BSEは分からない部分が多い。国が検査除外のお墨付きを出したからといって、消費者の納得は得られない」と話し、財政当局と調整がつけば全頭検査を継続したい考えだ。

 飼育頭数でトップの北海道では、高橋はるみ知事が「現段階で全頭検査の見直しが理解されるとは思わない」と基準緩和に反対してきた。ただ、厳しい財政状況の中で、約四万頭もの若い牛を独自に検査するには一億円以上かかると見られ、対応に苦慮している。

 このほか、調査した十六都道府県のうち様子見の姿勢を示した六都県の中では、「国がうまく国民に説明できないようだと対応は変わってくる」「生産者から『全頭検査を続けて差別化を図れ』との声も強く、結論は情勢次第」との声もでている。

 逆に「国の方針に従う」と明確に答えたのは六県。「国との関係はBSE問題以外にいろいろある」と国のしっぺ返しを理由にした県もあった。

 和牛をめぐり、こうした温度差が出てくることは、政府もある程度は事前に予想。ただ、現実に国に反抗する動きが出てくると、「ダブルスタンダード(二重の基準)は好ましくないが、(全頭検査を)やめろという権限はない」(農水省の石原葵事務次官)と苦り切っている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20040916/mng_____kei_____001.shtml