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2004年09月16日(木) 02時58分

小6女児を自立支援施設へ 佐世保事件で保護処分決定朝日新聞

 長崎県佐世保市の大久保小学校で6月1日、6年の御手洗怜美(みたらい・さとみ)さん(当時12)がカッターナイフで切られて死亡した事件について、長崎家裁佐世保支部(小松平内裁判長)は15日、家裁送致された同級生の女児(11)を児童自立支援施設に送致し、行動の自由を制限できる強制的措置を2年間取れるとする保護処分を決めた。審判の決定は、女児は障害とは診断されないものの、情緒面などに問題があり、両親が積極的にかかわらなかったことで対人関係や社会性が未熟なまま成長した、などと指摘した。

 決定は、女児が怜美さんを「計画的に殺害した」と指摘。怜美さんの行動については、「他人に殺意を抱かせるようなものはなく落ち度はない」とした。

 県佐世保児童相談所は16日にも、個別的処遇が可能な女子用施設、国立きぬ川学院(栃木県)に女児を移送するとみられる。刑事責任が問えない14歳未満の場合、強制措置の取れる児童自立支援施設への送致は最も厳しい処遇だ。

 家裁支部は、身柄拘束から3カ月余り過ぎた今も人格的特性から事件の重大性などを実感できずにいる▽対人関係の行き違いから他の児童に危害を加える可能性が否定できない、などを理由に挙げた。

 女児は、6月15日から84日間をかけて精神鑑定を受けた。

 鑑定結果を踏まえて家裁支部は、女児は(1)対人的なことに注意が向きづらい(2)物事を断片的にとらえる(3)抽象的なものを言語化することが不器用——などの点を指摘した。また、発達障害など「何らかの障害と診断される程度には至らない」とした。

 女児は、幼少期から泣いたり甘えたりすることが少なかった。決定は、両親はこれを「育てやすい」と考え、女児の欲求や感情を受け止めてこなかったと判断した。女児は対人関係や社会性、共感性が未熟なまま成長し、怒りや寂しさ、悲しさなどの不快感情が抑圧されたとした。

 女児は怜美さんと交わしていた交換ノートやインターネット上の記載を見て、自分が馬鹿にされ、批判されているように感じて腹を立て、殺害を決意。給食の時間に学習ルームに連れ出した怜美さんの首をカッターナイフで切って失血死させた。

 決定は、女児は聴覚的な情報より視覚的な情報の方を処理しやすい特性があることを指摘。交換ノートやインターネットが唯一安心して自己を表現し、存在感を確認できる「居場所」になっていたと結論づけた。ネット上のトラブルを「居場所」に侵入されたと怒りを募らせ、ホラー小説などの影響で攻撃性が肥大化したとした。

 女児は小学4年の終わりごろから、不快感情のうち、怒りの認知ができるようになったが、それを適切に処理できなかった。感情を抑えるか、相手を攻撃して発散するという対処しかできなかった——決定は、そうした女児の両極端な内面性も、事件の背景に挙げている。

(09/16 02:58)

http://www.asahi.com/national/update/0915/021.html