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2004年09月15日(水) 23時43分

<小6同級生殺害>加害女児の自立支援施設送致を決定毎日新聞

 長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件で、長崎家裁佐世保支部(小松平内裁判長)は15日、家裁送致された加害女児(11)の第3回少年審判を開き、児童自立支援施設に送致する保護処分を決定した。また、行動の自由を制限する強制措置を2年間を限度に認めた。決定は女児の人格特性を「社会性や他者への共感が希薄で、怒りを適切に処理できない」などと指摘したうえで「女児には『死のイメージ』が希薄で、いまだに同級生の命を奪った重大性を実感できていない」と分析した。
 付添人は抗告せず、処分は確定。女児は16日にも、女子の強制措置が取れる唯一の施設の国立きぬ川学院(栃木県氏家町)に送られる。
 家裁が公表した決定理由要旨はA4判7枚。この中で女児の生来的な特性として(1)対人的なことに注意が向きづらい(2)物事を断片的にとらえる傾向(3)抽象的なものを言語化することの不器用さ(4)聴覚的な情報よりも視覚的な情報の方が処理しやすい——などを挙げた。
 ただ「これらの特性は軽度で、何らかの障害と診断される程度には至らない」と位置づけた。
 また▽女児を両親が「おとなしく手のかからない子」と見誤ったため、対人関係や社会性、共感性の発達が未熟▽会話による意思疎通が不器用で、家庭も学校も女児の思いをくめなかった▽愉快な感情以外の感情の認知、表現が困難で、怒りを抑圧・回避するか相手を攻撃する両極端な行動しかできなかった——などの問題点を指摘した。
 更に、女児が傾倒していたホラー小説などが殺害行為に影響したことも認めた。
 直接的な動機は「唯一の居場所だったインターネットや交換ノートを巡るやり取り」としたものの、被害者の御手洗怜美さん(当時12歳)については「言動は他人に殺意を抱かせるようなものではなく、特段の落ち度はない」と認定した。
 また、女児の家庭には問題を解消できるだけの機能が備わっておらず、社会内での処遇は不可能と分析。これらを踏まえ、自傷や他者への加害の可能性も考慮して、2年間という長期の強制措置を許可した。
 審判は非公開で午前10時半から約1時間の休憩を挟み、午後2時半まで開かれた。裁判官3人、女児、女児の両親、家裁調査官5人、書記官1人が出席。小松裁判長が処分と簡単な経過説明を女児に言い渡した。
 家裁が認定した非行事実によると、女児は怜美さんと交換ノートを交わしたり、ネット上でメールのやり取りをしていたが、その内容を見てばかにされたり、批判されていると感じて腹を立て、6月1日午後0時20分ごろ、市立大久保小学校の校舎3階「学習ルーム」に怜美さんを呼び出し、首をカッターナイフで切りつけて失血死させた。【川名壮志】
 ◆ことば◆児童自立支援施設
 98年の改正児童福祉法施行で教護院から名称を変更。全国に計58カ所あり、非行を起こしたりその恐れがある少年らの保護・教育が目的。寮生活を送りながら生活、学習などの作業指導を受ける。開放施設で、原則として身柄拘束はできない。自由な行動を制限する強制措置を取ることができる女子の施設は国立きぬ川学院(栃木県氏家町)だけで、精神科医や専門員が常駐している。
(毎日新聞) - 9月15日23時43分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040915-00000060-mai-soci