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2004年09月14日(火) 02時22分

熊本でBSE牛確認 九州初、5歳2カ月 感染ルート不明西日本新聞

 厚生労働省は十三日、熊本県泗水町の乳牛一頭が牛海綿状脳症(BSE)に感染していることが確認されたと発表した。九州でBSEの感染牛が確認されたのは初めて。国内では十二頭目。

 同省によると、感染が確認されたのは一九九九年七月に生まれた五歳二カ月の雌のホルスタイン。泗水町で生まれ、同じ農家で飼育されていた。乳がとれなくなったため今月十日、熊本畜産流通センター(熊本県七城町)で解体。BSEの一次検査を行ったところ陽性反応があり、十三日に専門家会議が確定診断した。

 肉や内臓はすべて焼却処分され、市場には流通しない。この牛は解体後の検査で肝炎が発見されたものの、処理場に搬入時までは異常はなく、外見上はBSE特有の症状は見られなかったという。

 過去に国内で感染が確認された十一頭のうち、昨年見つかった二頭の若い牛を除く九頭は、すべて九五年十二月から九六年四月にかけて生まれていた。今回はこれらと異なり、新たな感染ルートの可能性もある。今後、農水省で肉骨粉の使用状況などの調査を進めることになる。

 BSEの感染源の解明に当たった農水省疫学検討チームの座長を務めた山内一也東大名誉教授は「昨年九月にまとめた報告書でも九州の牛にもリスクがあると指摘していた」として、冷静な対応を呼び掛けている。

 農水省によると、今後、感染牛と同じえさを食べた牛の中から、感染牛が一歳になるまでに生まれた「疑似患畜」をできるだけ早く特定し、農場で処分後、熊本県家畜保健衛生所でBSE感染牛か検査する。

■感染牛市場に出ない 潮谷義子熊本県知事の話

 全頭検査がきちんとした形での(感染牛の)発見につながった。感染牛が市場に出回ることはなく、牛乳からの感染も無関係。なぜBSEになったのか原因を追究し、食の安全が揺るがないよう対応したい。消費者には風評に影響されないようお願いしたい。

▽牛海綿状脳症(BSE)

 牛の脳に小さな穴があいて運動神経に障害が起き、死に至る病気。1980年代半ばに英国で初の症状が確認された。タンパク質の「プリオン」が病原物質とされる。日本国内では2001年9月に千葉県内の酪農家が飼育していた牛で感染が初めて確認された。輸入肉骨粉が感染源と推定されるが、最終的に特定されていない。BSE発生を受けて日本では同年10月から食肉処理される牛の全頭検査が実施されている。

■輸入再開協議に影響も

 【解説】熊本県泗水町で九州初のBSE感染牛が確認されたことで、九州でも感染が現実となった。ただ、「日本国内で、いつ出ても不思議ではない」(品川森一・厚生労働省のBSE検査専門会議座長)と既に全国的な広がりを予見していた専門家は予想の範囲という受け止め方をしている。

 「九州でも八—十三頭前後の陽性牛が摘発(発見)される可能性が試算される」。農水省が設置したBSE疫学検討チームは、昨年九月にまとめた報告書でこう指摘していた。輸入牛や肉骨粉が感染源となるリスクを試算したものだった。

 しかし、出生時期の違いから、今回は感染ルートがこれまでとは異なる可能性が大きい。また、肉骨粉が全面禁止となった二〇〇一年十月以前に生まれていることから、BSEの感染源とされる肉骨粉を飼料で与えたかどうかなど、疫学調査を徹底する必要がある。

 一方、今回は米国産牛肉の輸入再開をめぐる日米協議が本格化する矢先の発生になった。政府内には「従来型と同じようなBSEなので交渉への影響は少ない」(官邸関係者)との見方があるが、消費者の動向などで微妙な影響が出る可能性も否定できない。 (東京報道部・神屋由紀子)
(西日本新聞) - 9月14日2時22分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040914-00000028-nnp-kyu