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2004年09月10日(金) 00時00分

荒波に酒販店が悲鳴/緊急調整地域が倍増朝日新聞・

  うちの地域に、これ以上酒屋さんは要りません−−。酒類小売り自由化の荒波にのみ込まれ、廃業に追い込まれる販売店が相次ぐ中、経過措置として、新規参入を一時ストップする国の「緊急調整地域」の指定を受ける県内の市町村が急増している。税務署の公告によると、9月に対象になったのは19市町村で、昨年からほぼ倍増した。しかし、「猶予期間」は来年8月末まで。ひと息ついた後は、再び激しい競争が待っている。

  「久保田町ではこの1年で6軒が店を畳んだ。次はうちの店だと思う」

  町で酒販店を営む女性(72)は肩を落とした。

  昨年9月の自由化後、売り上げは3分の2に落ち込んだ。6月には、安売り店が近くに出店し、さらに客足が遠のいたという。

  配達員を雇う余裕はない。インターネット販売など工夫が必要だと分かっているが、体力も気力もないとこぼす。

  同町は9月、調整地域に新たに指定された。「1年だけでも対象になってホッとした」と話す。

  県内では昨年9月、佐賀市や諸富町など10市町村が調整地域の指定を受けた。それ以外の39市町村では、同月から今年3月までの間に、88店が新たに酒類販売の免許を取った。昨年度の県内への新規参入の95%を占める。一方で昨年度、県全体で58の既存店が姿を消した。

  今年9月の指定見直しでは、佐賀市や川副町など4市町村が外れた。諸富町など6町村は引き続き対象となり、鳥栖市、久保田町など13市町村が新たに加わった。県内の市町村に占める割合は39%。福岡国税局管内(福岡、佐賀、長崎)では最も高い「保護率」だ。

  とはいえ、その効力はあと1年。

  久保田町で酒屋と飲食店を営む志波明子さん(58)は「自由化といいながら調整地域を設けるなんて国の施策は矛盾している。たった1年保護されても酒屋は生き残れない」。

  今回、指定から外れた佐賀市では、一足早く生き残り競争に突入した。何でもそろう大型商業施設に客を奪われるのでは、と小売店側は危機感を募らせる。

  零細な酒販店はどう対処すればいいのか。

  佐賀小売酒販組合の森本淳一理事長(79)は「品ぞろえを充実させるのはもちろん、高齢者向けの配達や買い物の補助、酒のおいしい飲み方の紹介など、細かなサービスに力を入れて大型店との違いを打ち出していく」と話している。


  酒類を小売りするには免許が必要で、従来は人口に応じて地域の免許数を制限し、店舗間の距離もあけるなど既存店を手厚く保護していた。だが、規制緩和の一環で、国は01年1月、距離制限を廃止。03年9月には人口制限も撤廃された。

  半面、自由化による経営環境の激変を和らげるため、05年8月末までの2年間、緊急調整地域を設置。地域の5割以上の店舗で年間販売量が減った、といった要件を満たした市町村では、新たな免許申請を受け付けない経過措置をとっている。

(9/10)

http://mytown.asahi.com/saga/news02.asp?kiji=2667