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2004年09月09日(木) 00時00分

電波利用料 未来産業の芽を大切に 東京新聞

 次世代の情報家電機器に電波利用料を課すことを総務省が検討している。ユビキタス(どこでもコンピューター)時代を前に安易な収入増を狙って、未来産業の芽を摘むことがあってはならない。

 情報家電が普及すれば家庭内のエアコン、洗濯機、テレビ、電子レンジなどを無線で結び、家庭内外から無線端末や携帯電話を通じて自由にコントロールすることができる。

 特に家庭の録画機に蓄積した高精細度テレビ番組や映画をコードなしで大型平面テレビに無線で転送し、好きな場所で楽しむなどの使い方が期待されている。

 電波利用料は平成五年に電波法改正で設けられた制度だ。当初は、違法電波の監視や事務の機械化など電波管理に必要な経費としての色彩が強かった。

 ところが、携帯電話にも一台につき毎年五百四十円が課せられたことなどから、当初、利用料総額は約七十五億円だったのが携帯電話の増加につれて最近は五百億円以上に膨れあがっている。

 総務省は、この成功例に学んだかのように、これから普及が期待される情報家電からも利用料を徴収する検討を始めた。九月末までに結論を出し、来年の通常国会に電波法改正案を提出する構えだ。

 電波はもともと空気や日光のように人類の共有財産であるはずだ。今回のように、なし崩しに利用料を拡大されては国民は戸惑ってしまう。

 これに対し、同省は特定の道路や土地などのように電波も利用者から経済価値に応じた使用料を徴収することができるとの考え方を示している。ここが議論のポイントだろう。

 同省は対象拡大後の利用料収入を(1)電波利用度の地域格差是正(2)電波利用の効率化や研究開発−などにあてるという。

 こうした政策的な目的のため、本当に必要ならば、国会の審議を経て透明性の高い政府の正式な予算をあてるべきではないか。

 国の財政が厳しいからといって理由を付け、個別の省庁が税に準ずるような利用料を徴収することは本来好ましいことではない。社会保険庁の例に見られるように無駄遣いの温床と化す懸念もある。

 すでに電機と自動車業界は情報機器の普及が妨げられる恐れがあるとの懸念を示している。

 これから伸びようとする新産業を打ち出の小づちのようにみなす安易な姿勢は許されない。その成長を促すためには、望ましい電波利用のありかたを踏まえた慎重な制度づくりが必要だ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040909/col_____sha_____003.shtml