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2004年09月08日(水) 00時00分

オレオレ詐欺“演出”巧みに朝日新聞・

  家族を装い、事故の示談金などの名目で現金をだまし取る「オレオレ詐欺」が、県内でも後を絶たない。被害が出始めた昨年5月から今年7月までに被害額は計9億7千万円を超え、増加の一途だ。家族になりすますだけだった手口は、警察官や金融業者役など複数の人物が演技する「多重演出」の電話詐欺に変容。被害者からは「自分は大丈夫だと思っても油断できない」との声が聞かれる。

  「ニュースを見て『何でだまされるの?』と思っていたが、演技がうまくて信じ切ってしまった」。横浜市金沢区の50代の主婦はそう話す。主婦は8月上旬の昼、「もしもし、奥さんかなあ?」と「羽田署」の警察官を名乗る男から電話を受けた。航空会社に勤める単身赴任の夫と3人の息子がいる。「家族に何か?」と不安になった。

  男は「実はご主人が事故を起こしてね」と言ってきた。驚きの声を上げた女性に「動転しないで聞いてくれる? ご主人は加害者で、被害者の車に妊婦が乗ってたんだ。(妊婦の)だんなさんと話してみて」と別の男に代わった。だんな役は「初めてできた子で……」と不安をあおった。

  警察官役は「示談するには100万円。銀行口座を聞いてあげようか。2時間以内じゃないとできない」と切り出した。「お金はない。主人に直接言った方がいい」と言うと電話を切った。

  夕方、帰宅した長男に「詐欺じゃないか。おやじに電話すればいい」と言われても、「本当だったら」と電話を取る気になれなかったという。

  名簿が流れているのか、夫の勤務先の同僚の家にも全く同様の電話が相次いでいたという。

  同市都筑区の50代の主婦は8月下旬にだまされそうになった。昼前、夫が電話口で「はい、はい」と神妙な顔でメモをとるのを見て、胸騒ぎがした。長男を装った男と弁護士役の男からの電話だった。「5歳の男の子を車でひいて病院にいるらしい」と夫から聞かされ、頭が真っ白になった。

  弁護士役が「保釈に200万円かかる」と切り出した後、病院の場所を聞くと「横浜市中央区」と答えた。「横浜に中央区はない」と言うと電話が切れた。長男に電話し「仕事中だよ」と笑われるまで、生きた気持ちがしなかったという。主婦は「今まで、お年寄りに『だまされないでね』と言ってきた。普段大丈夫だと思っていても油断はできない」と話した。

  県警捜査2課によると、今年1月〜7月の認知件数は659件(うち未遂201件)、被害額は7億8千万円余りに上る。7月の被害額だけでも約2億円で、昨年の被害額計1億9200万円を超えるなど高額化、多発化の傾向にある。

  同課は今夏、詐欺グループを集団逮捕するなど捜査に力を入れる一方、電話を受けた際は必ず本人に電話することや警察や知人などに相談するよう呼びかけている。


(9/8)

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news02.asp?kiji=5896