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2004年09月07日(火) 01時52分

9月7日付・読売社説(1)読売新聞

 [BSE検査]「『二十か月以下』の除外は妥当だ」

 国際的に過剰な措置の是正は当然だろう。BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)に対する検査体制が大きく変わる。

 食品安全委員会の調査会が、三年間続いてきた全頭検査の見直しを容認する報告書をまとめた。

 報告書は「生後二十か月以下の牛の感染を検出することは困難」との見解を打ち出している。厚生労働省と農林水産省はこれを受け、二十か月以下の若い牛を対象外とする新基準を作る方針だ。

 世界で全頭検査を実施している国は、日本だけだ。食品委の調査会の見解を支持したい。

 全頭検査は、BSEが日本で初めて発症した二〇〇一年九月の翌月から始まった。これまでに三百万頭以上を調べ、十一頭の感染牛を確認して市場への出荷を抑えるなど、成果をあげてきた。

 だが、検査基準見直しの議論は当初からあった。BSEの原因となる異常プリオンは、検出可能な水準まで蓄積するのに二年程度の時間がかかり、あまり若い牛を調べても判定出来ない。欧州連合(EU)では、生後三十か月以上の牛を検査対象としている。

 昨年末、米国でBSEが発症して、日本が米国産牛肉の輸入を禁止した。解禁の条件として日本は全頭検査を要求したが、米国が「過剰検査は不要」と反発したことも、見直しに拍車をかけた。

 食品委の調査会が検討した結果、日本で確認された最も若いBSE感染牛は生後二十一か月だったため、一か月若い月齢で線を引いた。妥当な基準だろう。

 BSE対策で重要なのは、異常プリオンが蓄積する脳や脊髄(せきずい)、小腸の一部といった危険部位を除去することだ。

 これを徹底すれば、出荷される肉は安全とされる。日本ではすべての牛から危険部位を除去しており、全頭検査が見直されてもこの措置は続けられる。危険な牛肉が市場に出回ることは今後もない、と専門家の多くが指摘している。

 全頭検査が見直されれば、米国産牛肉の解禁交渉が本格化する。日本は、国内の新基準に沿って譲歩する見通しだが、米国では生後二十か月以下で処理される牛が多く、交渉が進めば年内にも輸入が再開されそうだ。

 危険部位の除去は、欧州各国でもすべての牛について実施されるほど重要な対策だ。対日輸出分にも同じ措置を取るよう、米国に求めるべきだろう。

 日本と飼育方法が違うことなどで、米国では、牛の生年月日の正確な認定が難しいようだ。ただ、「生後二十か月」がまったく尻抜けでも困る。米国は、月齢管理の手法を工夫する必要がある。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040906ig90.htm