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2004年08月31日(火) 00時00分

多重債務者増加、信用生協に相談を朝日新聞・

  借りた金の返済に困って別のところからも借り、借金の連鎖の渦に落ち込んでいく……。そんな多重債務に苦しむ人が、県内でも増えている。県消費者信用生協(信用生協)に昨年度、多重債務の相談に訪れた人は、4700人を超え、ここ10年では最高の数字となった。信用生協は「借金返済のために借金を重ねてはいけない。1人で悩まないで相談を」と、訴えている。

  盛岡市南大通1丁目の信用生協の本部。10ほどある相談室は、連日相談者で埋まる。その多くは、多重債務についての相談だ。不況の影響か、多重債務者は特に低所得者層で増加傾向にあり、年収200万円以下の相談者が全体の半数近くを占めているという。信用生協は昨年度、2500人を超える人を救済した。

  盛岡市に住む会社員の男性(38)は、ギャンブルに使う金欲しさに、ヤミ金融数社から借金をし、返済に窮した。最初からヤミ金融に頼ったのは、過去にした借金の絡みで普通の所では貸してもらえないと勘違いしたからだ。利息でふくれあがった借金は50万円。その返済のために男性は、新たに消費者金融から100万円を借りて返した。

  男性は生活費をやりくりして、何とか毎月3万円を消費者金融に返していた。だが、それでは利息を払うのがやっと。借金はいっこうに減らなかった。1日でも返済が遅れれば会社に連絡され、クビになりかねない。男性は悩んだ末、今年1月に信用生協にかけ込んだ。

  信用生協では、男性がなぜ借金をしたのか、借金生活に戻らないためにはどうすればいいのかを、徹底的にカウンセリングした。男性に金融知識を教えながら、一緒に会計簿を作って返済計画を検討した。それが固まると、岩手弁護士会の消費者問題対策委員会に属する弁護士に、債務整理を依頼した。

  弁護士は、利息制限法に基づいて上限金利を再計算して、消費者金融と交渉。その結果、男性の借金は約100万円から73万円に圧縮できた。残債は、生協の貸付金で一括返済され、男性は毎月2万4千円を4年間、信用生協に返していく形で多重債務から解放された。

  信用生協の救済資金貸付制度(スイッチローン)は、89年に始まった。信用生協・弁護士・自治体・地元金融機関といった関係諸機関が協力し、運営している。信用生協は債務者の相談に乗り、最大500万円の救済資金を貸す。その原資は、取り組みに賛同した県内54の市町村が、地元金融機関に積んだ預託金だ。地元金融機関は、預託金の4倍の額の範囲で無担保で信用生協に融資。貸金業者との交渉や具体的な債務整理は、弁護士が担当する仕組みだ。

  信用生協の藤村敬一専務理事は「金を貸し、ただ一括返済させるだけでは、消費者金融に返済能力があると誤解させる結果になりかねない。弁護士に介入してもらうことで、債務が圧縮されるだけでなく、消費者金融からの融資枠拡大の誘いなどから、債務者を守ることもできるのです」と話す。

  信用生協では、随時相談を受け付けている。平日午前9時〜午後8時(土曜午後5時まで)。問い合わせは信用生協(019・653・0001)まで。


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http://mytown.asahi.com/iwate/news02.asp?kiji=6185