2004年08月28日(土) 00時00分

盗難通帳訴訟、引き出し全額支払い命じる（朝日新聞・）

　盗難通帳で預金７８０万円を引き出された新潟市の男性会社員（４７）が、引き出しに応じたのは注意義務違反だとして第四銀行（新潟市）に同額の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が２６日、東京高裁であった。

　新潟地裁は、２度の引き出しのうち２回目についてのみ、銀行の注意義務違反を認め、銀行側に３２０万円の支払いを命じたが、東京高裁の鬼頭季郎裁判長は最初の引き出しも「印影照合上の過失があった」として全額の支払いを命じた。

　男性は２７日記者会見し、「預金者保護が認められ、十分納得できる内容です。金融業界に対する指導的意見と受け取っている」と話した。また、第四銀行広報室は「主張が認められず残念。対応は、判決文を精査・検討したうえで決めたい」としている。

　判決によると、会社員は０２年５月２０日、当時住んでいた長岡市の自宅から、副印鑑が押されている預金通帳を盗まれた。翌日、偽造印鑑を使った男が第四銀行長岡支店で４６０万円を、長岡市役所前支店で３２０万円を引き出した。一審判決は「特段の事情は認めがたい」とし、１回目の引き出し分については請求を棄却した。

　高裁判決は、不正な引き出しが増えていることなどから、「精巧な偽造印影による預金の払い戻しが容易に行われることを十分念頭におきながら、照合事務に対処すべきだった」とし、銀行側により注意義務があると判断した。（8/28）

http://mytown.asahi.com/niigata/news02.asp?kiji=6436