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2004年08月26日(木) 12時25分

「着うた」配信制限の疑い 公取委がレコード5社立ち入り朝日新聞

 携帯電話の着信音で人気歌手のヒット曲の歌声が流れる「着うた」をめぐり、大手レコード会社が音楽配信会社に対する楽曲の使用許可を不当に制限している疑いが強まり、公正取引委員会は26日午前、大手5社などに独占禁止法違反(不当な取引制限)などの疑いで立ち入り検査した。「着メロ」に続き急成長した「着うた」の市場で、原則として出資先配信会社だけに楽曲を提供し、他の配信会社に所属歌手の歌声を流させないようにしていたという。

 立ち入りを受けたのは「ソニー・ミュージックエンタテインメント」(東京都千代田区)「エイベックス」「ビクターエンタテインメント」「東芝EMI」「ユニバーサル ミュージック」(いずれも同港区)の大手5社を含むレコード約10社と、大手5社が共同出資している携帯電話への音楽配信会社「レーベルモバイル」(同)など。

 レーベル社は02年12月、KDDIが始めた「着うた」サービスで唯一の音楽配信会社として、レコード各社が制作したCDの楽曲を1曲当たり中心価格100円で配信。人気歌手のCDと同じ音源を使い、30秒ほどサビの部分を流す。当初の月間利用件数は44万5000回だったが、今年7月には過去最高の860万回に達し、年間売り上げで100億円を上回る市場規模に成長した。

 この間、配信会社も約100社に増えたが、関係者によると、CDなど音楽ソフト全体でシェアの6割強を占める大手レコード5社は、楽曲の提供先を原則としてレーベル社だけに限定。他の配信会社は5社所属の人気歌手の歌声を配信できないことなどから、レーベル社の「着うた」の利用件数は全体の約7割と突出している。

 公取委は、大手5社が「着うた」の共同出資会社に自社制作の曲を重点的に配信させることにより、不当に他社の事業活動を排除し、価格相場の維持を図っている疑いもあるとみて、立ち入り検査に踏み切った。

 人気曲を電子音のみで編曲した「着メロ」では、原曲の作曲者、作詞者は著作権料を受け取ることができるが、レコード会社には料金収受の権利がなかった。一方、歌手の歌声をそのまま流す「着うた」には、レコード会社に著作権法に基づく著作隣接権が発生し、配信会社に対して楽曲の使用許諾権を握るほか、使用料も受け取ることができる。

 「着メロ」でカラオケ業者などに先行された大手レコード各社はこれに着目。01年末、大容量通信ができる携帯電話端末の発売で楽曲の配信ができるようになったことから、「着うた」を企画し、事業を立ち上げた。現在、共同出資会社のレーベル社には、ソニーなどレコード20社が楽曲を提供している。

(08/26 12:25)

http://www.asahi.com/national/update/0826/012.html