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2004年08月23日(月) 00時00分

豆腐の表示「丸大豆?」って? 品種名でなく“丸ごと”の意 東京新聞

 暑い季節に欠かせないのが冷ややっこ。タンパク質やカルシウムが豊富な豆腐は、健康志向もあって食卓での人気は相変わらず。ただ、その割には、添加物や原材料の表示について消費者は意外と知らないことが多い。チェックしてみると−。 (砂上 麻子)

 国民生活センターが最近行った豆腐の調査がある。東京都と神奈川県内の大手スーパーなどで販売されている豆腐二十九銘柄を対象に実施、表示や品質などを調べた。このうち原材料表示に関して、三つのポイントで見てみよう。

    ◇

 【丸大豆?】

 調査では、原材料に「丸大豆」と表示されていたのが、二十九銘柄のうち約八割に当たる二十三銘柄あった。残りの銘柄は「大豆」「国産大豆」など。

 しかし、丸大豆とは「大豆を丸ごと使用している」という意味で、大豆にそういう品種があるわけではない。ただし、豆腐業界では以前から、脱脂加工大豆と区別するために、この用語が使われてきた経緯がある。

 同センターが問題視しているのは、この丸大豆にいろいろな修飾語をつけて販売されている点。例えば、「厳選丸大豆」「契約栽培丸大豆」「有機丸大豆」などだ。

 「丸大豆を強調した表示は消費者にそういう品種があるという誤解を与える可能性がある」と同センターは指摘、「業界に対し、不必要な表示を控えるよう求めていく」としている。

 【遺伝子組み換え】

 今回調査対象となった二十九銘柄はすべて、「遺伝子組み換え大豆不使用」と表示されていた。しかし、そのうちの約六割、十八銘柄から、国内では販売目的では生産されていない遺伝子組み換え大豆が検出された。

 厚生労働省などによる調査では、いずれの銘柄も遺伝子組み換え大豆とは区別して輸送する、法定の分別・生産流通管理を行っていた。このため同センターは「輸送や製造などの過程で偶然、ごく微量混入したのでは」とみる。

 現在、遺伝子組み換え大豆を使用した加工品の表示は、食品衛生法および日本農林規格(JAS)法に基づいて決められている。不使用の表示をする場合は、意図しない混入率が5%以下にする必要がある。今回の調査は精度が高く、組み換え大豆が0・1%混入していれば検出される。そのため、検出されたからといって、不使用の表示が法律に触れるわけではない。

 同センターは「消費者は、『不使用』の表示が、まったく検出されないという意味でないことを知ってほしい」と呼びかける。

■別の凝固剤なのに…

 【にがり】

 豆腐の凝固剤として用いられる「にがり」は塩化マグネシウムあるいは塩化マグネシウム含有物のこと。大豆の甘みを引き出す役目もある。調査では二十九銘柄すべてで、「にがり」(塩化マグネシウム、または塩化マグネシウム含有物)と表示されていた。

 しかし、そのうち十二銘柄からは、酸の凝固剤であるグルコノデルタラクトンが検出された。それを「にがり、グルコノデルタラクトン」と明示していたのも九銘柄あったが、三つの銘柄には表示がなかった。

 この凝固剤は人体に害はない。しかし、消費者は、表示されていない以上、選びようがない。同センターは「凝固剤は使用しているもの全てを表示してほしい」と製造者に要望している。

■「公的な基準、正確な表示を」

 全国消費者団体連絡会・神田敏子事務局長の話

 豆腐は普段からよく食べる身近な食品であり、消費者も表示を信じて買っている。それにもかかわらず、「遺伝子組み換え大豆不使用」の表示がある場合でも、組み換え大豆が検出された。法律には触れないが、原料の大豆にどのくらい組み換え大豆が混入しているのか、検査の方法や精度など公的な基準を作る必要があるのでは。

 「丸大豆」を強調した表現は、商品を差別化したいのだろうが、表示はうそをついてもいけないし、誤解をさせてもいけない。消費者のことを考えて、正確な表示をしてほしい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040823/ftu_____kur_____002.shtml