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2004年08月23日(月) 00時00分

解明険しい三菱ふそう隠ぺい カギ握る『交換部品』記録 東京新聞

 三菱ふそうトラック・バスのクラッチハウジング部品の隠ぺい問題は、神奈川県警などの一連の捜査が終結した後も広がり続けている。同社と三菱自動車は協力して調査し、国土交通省に報告する方針だが、社内調査でどこまで解明されるのか? 捜査や国交省の監査で見抜けなかった隠ぺいの解明に「交換部品」(スペア)の記録が注目されている。 (社会部・西岡聖雄)

 クラッチを収容する金属カバー「クラッチハウジング」の不具合隠ぺい問題は、(1)一九九〇−昨年九月(2)昨年九月−今年五月末のリコール(無料の回収・修理)(3)リコール以降−の三時期に大別される。(2)と(3)について、ふそうは「報告は遅れたが隠ぺいではない」などとしている。

◆空白の9カ月

 (1)の期間の不具合は五月に内部告発で発覚した。商品情報連絡書(商連書)に残る九〇年以降の部品破損は六十七件に上る。

 (3)のリコール以降の不具合は、破断を亀裂と虚偽説明した七月の記者会見を機に発覚。商連書で十四件が判明した。

 (2)の時期に当たる昨秋からの九カ月間は商連書がなく、同社は当初「破損ゼロ」とした。これに懐疑的な国交省は七月の監査で、スペアの追跡調査を指示。同社は今月四日、一転してこの間に「二十件の破損があった」と発表した。

 この会見で、本紙が「保存するスペアの全出荷記録の公表」を求めたところ、同社は九八年以降の出荷数は七百二十八件であることを明らかにした。このうち商連書があるのは十八件だけだった。一方、(2)の時期に出荷したスペアは三十四件。実際には二十件が商連書で書くべき破損だったことからすると、七百二十八件の中に埋もれた不具合も多いとみられる。

◆ヤミ改修解明

 スペアに最初に着目したのは三菱自動車だった。「保存期間が三年の商連書の調査は限界がある」として、保存期間十年のクレーム申請文書で、九三年以降のヤミ改修実施率をあぶり出した。この文書は、販売店が欠陥部品をスペアと交換した費用を請求するのに使われる。

 「ヤミ改修の実施状況が不明」とするふそうに対し、本紙は六月の会見で「三菱自動車と同じ手法で調べられるはず」と指摘した。だが、ふそうは「九二年十月から商連書が残る」と商連書ベースの調査にこだわった。

 商連書に載らない破損が発覚した以上、商連書頼みの調査では不十分なことは明らかだ。しかも商連書は以前ほど奨励されていない。不具合情報を得るため、三菱自は商連書が多い販売店を表彰していたが、「販売店が商連書を書くのは当然」と二〇〇〇年四月、表彰基準から商連書を外した。昨年分社したふそうもこれを踏襲している。

◆家宅捜索せず

 二〇〇〇年、「パジェロ」のクレーム隠し事件を受け、三菱両社は本社に届く商連書を通し番号で保存するシステムを導入。担当者は「販売店が商連書自体を書かなければ別だが、特定の欠陥を隠せなくなった」と話す。

 しかし、商連書が十分機能していないことが分かり「隠ぺいの解明には、商連書がないスペアの追跡調査が不可欠」とされる。ふそうによると、欠陥ハブ部品による横浜母子三人死傷事故や、欠陥クラッチ部品による山口県の大型車運転手死亡事故を捜査した神奈川県警などは「スペア記録のある部門を家宅捜索しなかった」という。

 七月の国交省の緊急監査は態勢が整わず、スペア関連部門や販売店に入っていない。だが、その後も社内調査待ちの姿勢で、キーマンの内部告発社員や解雇された幹部に事情も聴いていない。

 「三菱におきゅうをすえる」と語る国交省幹部に、欠陥ハブのリコールを同社に迫った当初の気迫や、自ら調査、解明する意欲は感じられない。

<メモ>

 商品情報連絡書 三菱自動車と昨年1月に分社した三菱ふそうトラック・バスの販売店が、部品の不具合を本社にファクスで連絡する文書。クラッチ部品の破損で起こるブレーキ不能や車両火災などのほか、路上故障、事故も必ず報告することになっている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040823/mng_____kakushin000.shtml