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2004年08月22日(日) 00時00分

伊香保温泉水道水問題 背景に湯量の減少 東京新聞

■町が独自の規則検討

 伊香保町の伊香保温泉で発覚した一部の旅館・ホテルによる水道水使用問題は全国の有名温泉に拡大し、名湯の信頼が揺らいでいる。草津、伊香保、水上、四万など首都圏から多くの集客を誇る「温泉県・群馬」。県でも県温泉対策連絡会議を発足させ、行政と観光業界一体で信頼回復に躍起になっているのだが…。(山岸 隆)

■伊香保の事情■

 伊香保温泉といえば、四百年の歴史を誇る茶褐色の「黄金の湯」。タオルを湯に浸すと黒く着色する人気の温泉だが、引湯は老舗旅館に限られ、一九九六年に町が無色透明の冷泉「白銀(しろがね)の湯」を発見するまで、地元では水道水の使用が黙認されていたようだ。

 その後も、水道水の使用や加水が行われてきた背景について、伊香保温泉観光協会の千明三右衛門会長は「温泉の絶対量が足りないから」と説明。湯量の減少と、湯温の低下傾向を示唆した。

 伊香保温泉では、バブル経済と、その後の温泉ブームで設備投資が進んだが、温泉には限りがある上、バブル崩壊後の不況で一部の旅館が高い権利料を賄えず水道水使用に追い込まれたらしい。

■不明確な基準■

 町が五十七施設を対象に実施した緊急実態調査で、温泉を引いていなかった七軒の旅館・ホテルのほかに、温泉は引いているものの大浴場や露天風呂など一部の浴槽で水道水を使っていた十九軒の施設が判明。お湯の入れ替えでは一週間に一度か、それより長い間隔で行わない施設が三十四もあり、中には半年に一回しか入れ替えない浴槽もあった。殺菌処理も三十三施設で未実施が分かった。

 しかし、調査に強制力がなく、温泉の表示方法や衛生管理について基準があいまいなため、町では「全国の温泉地のモデルケースにしたい」と独自の条例や規則の制定を検討するという。

■利用客の反応■

 この問題をめぐり、伊香保町は温泉を引いている施設の水道水併用について、「表示をすれば問題ない」(村尾隆史助役)との見解だが、利用する側の反応はさまざまだ。

 前橋市朝日町の無職男性(78)は「伊香保温泉にある旅館やホテルなら、だれでも温泉を引いていると思うのではないか。表示があっても露天風呂や大浴場が水道水というのはひどいよ」と不満顔。これに対し、同市表町の女性保険外交員(38)は「伊香保温泉の水道水なんて前橋では多くの人が昔から知っている話。温泉宿は食事と部屋と風呂を総合的に楽しむ場所で、水道水は承知の上で泊まっている。風呂が気にくわないなら行かなければいいだけです」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/gnm/20040822/lcl_____gnm_____000.shtml