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2004年08月12日(木) 00時00分

ベビーカーの『SGマーク』 28年ぶり基準改正 東京新聞

 ベビーカーの「SGマーク」の安全基準が二十八年ぶりに改正された。ここ数年、大手メーカーが相次いで発売し、主力製品としている新タイプは、従来の安全基準の対象外で、SGマークが付いていない。万一の事故時の補償にもかかわるため、マークを認定する製品安全協会が、現状に合わせ基準を見直した。新型ベビーカーと安全基準の関係を探った。 (酒井 ゆり)

■振動対策向上で見直し

 名古屋市内の乳幼児用品専門店。店頭には、約四十台のベビーカーが並んでいる。だが、そのうちの八割がSGマークが付いていない新タイプの「AB形」だ。

 同店は「AB形は軽量で、年齢とともに買い替える必要がないということもあって売れ筋。中でも四キロを切るタイプがよく出ている」という。

 店頭にいた女性(18)は「一台で長く使えるAB形がほしい。中でも持ち運びに便利な軽いものがいい」。実際にAB形を使っているという女性(29)は「一台で済むから本当に便利」と話す。

 しかし、同協会がこれまで認定していたベビーカーは、生後二カ月以降から二歳児まで(A形)と、生後七カ月以降から二歳児まで(B形)の二つのタイプだけ。

 A形は乳児を寝かせた状態で使え、正面と背面のどちらからでも押せるタイプがあるのが特徴。寝かせたままの状態で押して歩いても乳児の体に影響がないよう、しっかりとした作りで、その分車輪も大きく重い。製品によっては約七キロを超えるものもある。

 一方、B形は、座った状態で使い、寝かせることはできないので、その分車輪が小さくても認定していた。重さはA形の約半分程度になり、持ち運びが楽だ。

 そこで登場したのが、AとBの機能を合わせた「AB形」だ。Aのように赤ちゃんを寝かせることもでき、Bのように車輪が小さく軽い。

 乳幼児用品の大手メーカー、アップリカ(大阪)は「A形の利用者は軽量化を望んでいた。またB形利用者の中には、七カ月を待たずに乗せ始めてしまうケースもあり危険だった。そこで、A、Bの両方の基準をクリアした製品を作ろうと思った」と言う。

 同社が二〇〇二年夏に発売。同じく大手のコンビ(東京)も同様の製品を〇三年春に売り出した。今では両社ともAB形がベビーカーの主力製品となっているという。

 両社とも「AB形」は同協会がA形に求める安全基準を実質的にクリアしているが、車輪が小さいなど、規格が従来の基準に合わないため、SGマークを申請できなかった。

 こうした状況を受け、同協会は基準の見直しを検討。これまでの基準では車輪の直径が大きいほど振動を吸収するとしてきたが、クッション材やばねなど部品の技術進歩により、車輪が小さくても十分吸収することができることが分かったとして、車輪が小さいAB形も認定の対象にした。

 新基準では、AB形として売られていたものをA形に統一。A形、AB形の車輪の直径基準を、一八〇ミリ以上からB形と同じ一一五ミリ以上にした。また、振動テストの結果、生後一カ月以降の乳児を乗せても問題ないとし、A形の使用年齢を引き下げた(表参照)。

 新基準によるメーカーからの申請は来月から受け付ける。同協会によると、早ければ十月以降には、新しいSGマークの付いたベビーカーが市場に出回るという。

 問題は、現在店頭に並んでいる製品の扱い。当分は、旧基準と新基準の製品が店頭に混在することになるからだ。

 同協会は「申請前の製品について、各社が『新SGマーク適合品』などと説明を付けるメーカーもあるだろう」とみる。だが「適合品」はあくまでメーカー独自の表示であり、SGマーク認定の対象ではない。

 アップリカは「製品の切り換え時期に両方の製品が店頭に並んだら、消費者が混乱するのではないか」と心配する。安全性に変わりはなくても、万一、欠陥があってけがをした場合、賠償金が出るかどうかの違い。消費者はこうした違いを理解した上で、表示をしっかり確認して選びたい。

■部品の強度も厳しく

 新しい基準は部品の強度も強化した。例えば、子どもの落下防止用に付けられている「フロントガード」は、階段などで運ぶ時、手でつかむ人が多いことから強度の基準を上げた。ただ、製品安全協会では「もともとフロントガードは持ち運ぶために作られていないため、折れることもあり危険。赤ちゃんを乗せたまま持たないで」と注意を呼びかけている。

■SGマーク

 セーフティー・グッズ(安全な製品)の略称。製品安全協会が乳幼児製品や家具・家庭用品、スポーツ・レジャー用品など129品目(今年7月現在)で、構造、材質などの基準を定め、合格した製品に表示を認めている。マークが付いている製品の欠陥により人身事故が起きた場合、購入日から3年間なら、程度に応じ賠償する。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040812/ftu_____kur_____000.shtml