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2004年08月12日(木) 00時00分

カード発行数 低迷/住基ネット稼働1年朝日新聞・

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が本格稼働し、住民基本台帳カード(住基カード)の利用が可能になって、今月25日で1年になるが、県内10市のカード発行枚数は7月末までで2663枚にとどまっていることが朝日新聞社の調べで分かった。人口比でわずか0・18%しか普及していない計算で、国の想定を大きく下回っている。各市からは「現時点では持っていてもあまり役に立たない」という声が出ている。

 住基カードは、転居先の自治体にカードを提出すれば前の自治体への転出届が不要となり、居住地以外の市区町村でも住民票を取得できる。市区町村が条例を定めれば独自のサービスもできる。昨年8月25日から交付が始まった。

 総務省は当初、03年度中の全国での発行枚数を人口比約2・35%の300万枚と予測していた。ところが、10市での本格稼働から7月までの枚数は、岡山市1170枚(人口比0・19%)、倉敷市669枚(0・15%)、津山市185枚(0・21%)などと大幅に下回った。

 なぜ、こうも不人気なのか。各市は、カードの用途が限られていることを一番の理由にあげる。転出での利用や、居住地以外で住民票をとる必要がある人はごく少なく、「これがないと困るというものではない」(岡山市)。カードには顔写真が載っていることから、サービスに期待して申し込むよりも「運転免許証を持たない高齢者らが身分証明書がわりに申し込んでいる」(総社市)のが現状だという。

 発行には原則500円の手数料がかかるうえ、他自治体へ転居するとその土地で新規に発行してもらわなければならないといった面倒さもある。ある市の担当者は「これからカードをつくろうという人に、こうしたデメリットを説明すべきかどうか迷う」と話した。

 新見市は人口比0・74%と最も普及率が高かった。市は昨年、独自の条例を定め、住民票写しや印鑑証明書の自動交付、体育館など公共施設の予約や総合検診結果の閲覧などにカードを利用できるようにしており、市は「付加価値が付いて便利にならないと、申し込む気にはならない」とみている。

 だが、こうした独自利用は、県内では新見市のほか、井原市が住民票と印鑑証明書に限って行っているだけだ。岡山市の担当者は「サービスを広げるにはそのためのシステムが必要になり、予算がかかるので難しい」と言う。

 今年1月末から、インターネットを通じて一部の行政手続きをできる「公的個人認証サービス」が始まり、これに住基カードが必要になった。高梁市では今年に入って発行枚数がやや上向いており、「カードを納税申告などに利用する人が申し込んでいるようだ」。県市町村課も「今後、公的個人認証などでサービスが広がってくれば、普及は進むのではないか」とみる。

 市民団体「私を番号で呼ばないで! 反住基ネット岡山」の赤岩明代表(佐伯町議)は「住基カードは行政職員さえもほとんどつくっておらず、市町村もやりたくないのが本音だ。将来、カードなしには暮らせない社会にさせられれば、それは市民への一種の強制になり、監視社会が近づくことになる」としている。
(8/12)

http://mytown.asahi.com/okayama/news02.asp?kiji=4777