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2004年08月08日(日) 00時00分

利用者囲い込め!ケータイ熱い戦い 東京新聞

 携帯電話の高機能化と価格競争が同時進行している。カメラなどの機能に加え、財布代わりになる電子マネー機能を備えた携帯電話も登場。その一方で、電子メールの送受信などデータ通信(パケット通信)が使い放題になるサービス競争も激しく繰り広げられている。エスカレートする“携帯サービス合戦”の背景を探った。 (経済部・市川千晴)

 東京・新橋のコンビニエンスストア。近くの企業に勤める男性(42)が、弁当を買うために懐から出したのは購入したての携帯電話。レジにかざして支払いを済ませた。NTTドコモが発売したICカード搭載の「お財布ケータイ」だ。男性は「小銭を出す手間が省けて便利」と満足げ。

 購買履歴や残高を画面に表示したり、インターネット経由で残高を増やすことができ、飲食店や空港など全国九千カ所で利用できる。十一月からは日本信販のクレジットカード、来年度中には東京三菱銀行のキャッシュカードやJRの乗車券代わりにもなる。「iモード以来の変化」と、同社では事業の大きな柱として育てていく考えだ。

 一方、業界首位のドコモを追撃するKDDIのau。二〇〇三年度末のシェア(市場占有率)を前年度比2・2ポイント上げ20・8%に伸ばしたが、そのカギは「着うた」だ。CD並みの音源で、サビの部分を携帯電話の着信音にできるため若年層でヒット。発売から一年半の先月、ダウンロードが一億回、売り上げ約一億円に達した。「音楽分野では負けられない」と、来年には音楽プレーヤーとしても使える携帯の発売を目指している。

 「携帯でスポーツ観戦などをしたい」という利用者の声に応えて国内初のテレビ機能を備えた携帯を発売したボーダフォン。FMラジオも聴ける機種のほか、七月にはカラオケ機能付きも投入した。ネットでメロディーや映像を携帯に取り込んでテレビに接続すれば、携帯をマイク代わりにして歌うことができる。

 こうした機能拡充について、携帯電話業界からは「携帯が手帳や財布の代わりとなり、娯楽手段にもなった。携帯一台で身の回りの物をほとんど兼ねる時代が来るのでは」(ある携帯会社幹部)との声も聞こえてくる。

 一方、価格面のキーワードは「パケット定額制」だ。サービスの対象は現在、利用者の大半を占める第二世代からの買い替えが見込まれる高性能の第三世代携帯電話。一回数百円掛かる動画のダウンロードも、毎月一定の料金を払った後は使い放題になる仕組みだ。

 auが昨年十一月、業界初の定額制サービスを導入、ドコモも今年六月から追随した。ところが今月、auは再び料金体系を見直して、これまでよりお得な定額制を追加、価格競争はいっそう激しくなっている。

 こうした競争激化の背景を「市場の飽和感がある」と指摘するのは日本総合研究所の野村敦子主任研究員だ。〇三年度末の契約数は八千百五十一万九千七百件で7・7%増えたが、伸び率は前年度より1・8ポイント低くなった。「お財布代わりといった生活必需品や、『着うた』など、遊び心を取り入れ差別化しないと利用者を引きつけられない」と野村主任研究員。定額制導入も「利用者を囲い込もうという狙いがある」と解説する。

 今後もこうしたサービス、価格面での競争は続いていくのか。民間調査機関MM総研の横田英明主任は、パソコンの世界でのブロードバンドの普及を例にしながら「パソコンは技術革新で価格破壊が起き、利用者が急増した。携帯電話でも今、同様のことが起きようとしている。競争激化はしばらく続くため、利用者へのメリットは期待できる」と見通している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040808/mng_____kakushin000.shtml