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2004年08月02日(月) 07時01分

社保庁職員の仕事量、地域格差は最大5倍朝日新聞

 社会保険庁の都道府県別の職員1人あたりの仕事量が、最大で5倍以上の格差になっていることが朝日新聞社の調べでわかった。仕事量が特に多い千葉、埼玉、神奈川の各県では年金窓口の混雑が起きるなど、配置のアンバランスが業務に支障が出る一因になっており、現在検討されている同庁改革の中で、大きな課題になりそうだ。

 各都道府県に一つずつある社会保険事務局と全国312の社会保険事務所などの職員数は、03年9月で約1万6600人。一方、自営業者や学生などの国民年金の加入者は約2200万人で、職員1人あたりの平均は約1300人。

 これを都道府県ごとにみると、埼玉県や千葉県は3千人を超え、神奈川県も約2400人に達している。一方、富山、福井、鳥取、山口など九つの県は900人を下回っている。最少の島根県は620人で、最多の埼玉県との格差は5.1倍になる。

 また、申請の受け付けや年金支給額の計算など作業量が多いといわれる「厚生年金を新たに受給し始めた人」の数で比較すると、02年度の職員1人あたりの全国平均は96人で、埼玉県が最も多く225人、千葉県は210人、神奈川県は178人。最少の沖縄県は40.4人で、埼玉県との格差は5.6倍だ。

 地方の職員は4年前まで国家公務員でありながら、都道府県知事の監督下にあり、採用も都道府県単位だった。現在も都道府県間の人事異動はほとんどない。このため、人口増や都道府県をまたぐ住民移動に伴う仕事量の増減に対応できず、格差は広がる傾向にある。

 仕事量が多い社会保険事務所では、年金相談窓口が混雑するだけでなく、納付率の低さが問題になっている国民年金の保険料徴収の作業にも影響が出ている。

 同庁は配置のアンバランスがサービスの質に影響を与えていることを認めながらも、「仕事量の少ない県から多い県に割り振るのは職員の感情を考えると難しい。都道府県間の異動も現時点では考えていない」としている。

 元社会保険庁長官の堤修三・大阪大教授は「地方の独立性が強く、これまで配置の見直しに手をつけられなかった。今後、年金の受給者が増えて仕事量が増える一方で、(行政改革で)定員数は減らさざるを得ない。効率的なサービスを行うには配置の見直しは避けて通れない」と話す。

(08/02 07:00)

http://www.asahi.com/national/update/0802/008.html